思い出ショートショート⑬
西武ライオンズが先週末に着用していた虹色のユニフォームを見て、メキシコのGKホルヘ・カンポスを思い出した。94年のアメリカワールドカップで存在を知ったGKなのだが、当時「こんな選手もいるんだ。」と驚いたことを記憶している。当時からGKと言えば体格に恵まれた選手のポジションというイメージがあったのだが、カンポスの身長は170㎝に届いていなかった。それでも抜群の反射神経と身体能力の高さを活かしたセービングでメキシコ代表の中心選手として君臨していた。身長160㎝台のGKというだけでも希少価値が高いのだが、ド派手なユニフォームと在籍していたチームではFWでの試合出場も行っているという点でも異色の選手だった。
私は94年のワールドカップでのカンポスのプレーが強く印象に残っている。ド派手なユニフォームと状況に応じてペナルティーエリアから飛び出してドリブルをする姿などは一見すると「色物」扱いされてしまいそうなのだが、カンポスにはGKとしてもサッカー選手としての足下の技術に関しても確かな実力が伴っていた。同世代の異色のGKと言えば、コロンビアのイギータやパラグアイのチラベルトも有名なのだが、GKとFWの二刀流を実現させたという意味ではカンポスも偉大なサッカー選手だった。イギータも当時のGKの中では足下の技術は高かったし、チラベルトのフリーキックをはじめとするキックの精度も素晴らしかったのだが、カンポスはFWでトップレベルの試合に出場していただけのことはあり、視野が広く、ボールを保持していない時、いわゆるオフ・ザ・ボールの動きもきっちりできる所にGKの攻撃参加がただのパフォーマンスではないことを感じさせてくれた。
日本でのチャリティーマッチか何かでFWでプレーする姿も見た記憶があるのだが、本当にスピードとテクニックに優れた選手であり、人気が出ることも理解できた。
94年と言えば日本のコアなサッカーファン以外にも世界のサッカーの情報がこれまで以上に多く入ってきた時代であり、多くの世界的選手が日本でも知られるようになった年なのだが、他の選手に負けないくらいカンポスも印象に残るプレーヤーとなった。
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