第103回全国高校野球選手権大会で印象に残った選手

コロナによる出場辞退、悪天候での度重なる順延など、野球以外の部分での話題、課題が大きく扱われた大会となったのだが、最後は智弁和歌山が智弁学園との兄弟校対決を制して、全国の頂点に立ってみせた。コロナ禍における初戦の不戦勝もあり、準備が難しいシチュエーションだったと思うのだが、しっかりコンディショニングを整えたところに名門校の凄さを感じさせてくれた。
大会を見てみての感想としては、コロナ禍に見舞われてから1年半以上が経過し、高校の部活動にも様々な影響が出てきていると感じた。これまでのような練習量、実戦経験を積んでから大会に臨むことが難しくなっている影響なのか、特に打撃という面で例年よりも迫力に欠けるように映ったのは私だけだろうか?伝わりづらいニュアンスになってしまうのだが、「センバツ」っぽい雰囲気(高校レベルでよくまとまった好投手が結果を残した。)の大会だったように感じた。
印象に残った選手に関しても、高卒でドラフト上位が予想される選手は今大会ではそんなに多くないのかな?という印象である。センバツの際は、レベルの高い好投手が多い大会という振り返りをしたのだが、今大会も基本的には、センバツで目に留まった選手のスキルの高さを再確認することが多い大会となり、新たに印象に残った選手は少なかった。やはりセンバツ組や2年生で印象に残る選手が多かった印象である。
過去記事はこちらから→「第93回選抜高校野球で印象に残った選手
上記のセンバツの記事で挙げた選手はやはりいい選手だった。大型サウスポーで上半身を柔らかく使える木村(北海)、明豊を完封したサイドハンド深沢(専大松戸)、横浜打線を抑え込んだ花田(広島新庄)、切れ味抜群の小型サウスポー西村(智弁学園)、体格を見ただけで鍛えられているのが分かる松浦(大阪桐蔭)、投手としての安定感、打者としての爆発力ともに目立った代木(明徳義塾)、サイズはなくても抜群のバットコントロールとパンチ力を兼ね備える池田(大阪桐蔭)辺りはやはり将来的にプロを狙える素材だと感じる。
2年生では投打ともに魅力的な山田(近江)、バランスの良さ、コントロールの良さが目立ったサウスポー森下(京都国際)、トルネードサイドハンドのサウスポー吉村(明徳義塾)、世代のトップランナーであり、力強い打撃が魅力の浅野(高松商)辺りは今後の成長が楽しみである。

このように選手の名前を挙げてきたのだが、ここからは、センバツ組、2年生以外で印象に残った選手を挙げてみたい。

投手

風間 球打(ノースアジア大明桜)
・選抜に出場した小園、達、石田、畔柳らと並んで称されていた風間は夏の甲子園で存在感を放ってみせた。角度のあるオーバースローから投げ込まれる力強いストレートと縦の変化球で勝負するスタイルは魅力的である。やはり素材という意味では今大会№1はこの風間だったと感じる。元オリックスの平井、楽天の松井のようにリリーフであれば、早い段階でプロでも働き場所を得られる可能性のある投手だと思う。先発を考えるのであればアクセントとなりそうな縦のカーブをしっかり習得してもらいたいと感じた。前評判に偽りのない投球を披露してくれた。

ヴァデルナ・フェルガス(日本航空)
・北海の木村のような凄みは感じないのだが、長身でありながら身体を器用に操ることが出来るこの投手の投球は印象に残った。球持ちが良く、球速表示の割に打者が差し込まれる場面が目立っていた。投球のバランスを崩さずにパワーアップを図ることが出来れば、将来ドラフト候補として名前が挙がってくるかもしれない。

薮野 哲也(鹿島学園)
・この投手のことは全く知らなかったのだが、一目投球を見ただけで、自分の好きなタイプの投手だと分かった。細身ながらしなやかな腕の振りから投げ込まれるボールは質が良く、コントロールも安定していた。身体作りにもう少し時間がかかりそうだが、野球を続けるのであれば、4年後、5年後が楽しみな選手である。今大会では強力盛岡大付属の前に初戦で敗れてしまったのだが、スライダー、カット系の精度の高さに驚いた。

秋山 正雲(二松学舎大付属)
・高校の先輩で現巨人の大江を思い出した高校野球ファンの方も多いのではないだろうか?サイズに恵まれていないのだが、マウンドでの存在感は抜群であり、力勝負でも打者を差し込めるストレートの威力、精度が目立っていた。空振りを奪えるスライダーがあった分大江の方がプロ向きな印象はあるが、安定感では秋山も負けてはいない。プロのスカウトがどういった評価を下しているか気になる選手である。

野手

今井 英寿(松商学園) 外野手
・野手では結果を残せなかったのだが、今井の打席での雰囲気の良さが印象的だった。構えを見ただけで安定感が伝わってきた。怪我もあり中々本来の力を発揮できなかった3年間だったと思うのだが、野手としての能力は非常に高いものを持っていると感じた。上のステージでどんな選手に成長するのか楽しみである。

野間 翔一郎(大阪桐蔭) 外野手
・そのスピード感は現ロッテの藤原の高校時代を彷彿とさせた。まだまだ技術が追い付いてきていない印象もあるが、身体能力の高さというものは大きな武器になる。打撃の精度が上がってくればプロも視野に入ってくる可能性を秘めた選手だと思う。

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