奥川と青木

ヤクルト４－０DeNA

20歳の若きエース奥川が抑え、39歳のベテランバット職人青木が満塁ホームランで均衡を破ってみせた。ヤクルトの投打のスターがまばゆいばかりに輝いた。これで13戦負けなしの9連勝である。試合展開含めちょっと信じられないような状況になっている。このまま逃げ切るようなこともあり得るのだろうか？

奥川は前回同様、ボールの走り自体は絶好調という感じではなかったのだが、それでもしっかり試合を作れてしまうのが才能である。ゲームごとでの自分の状態をしっかり見極め、修正も図りながら投げることが出来ている。こんな20歳は早々お目にかかれない（オリックスの宮城もそんな投球が出来ていますが…）。今シーズン当初は課題となっていたストレートのシュート回転もそれ自体も巧く投球の組み立てに使いながら相手打者と対峙しているように感じるし、変化球もカウント球にも勝負球にも自由自在にコントロール出来ている。この日は6回を被安打３、無四球の無失点でまとめ、8勝目を手にした。これで8試合連続のQS達成となり、7試合連続で無四球ということである。どちらも素晴らしい記録なのだが、7試合連続での無四球という数字はちょっと信じられない。前回の巨人戦では死球があったため、連続無四死球の記録は途切れているのだが、プロの打者を相手にしながらここまで四球を与えないというのは想像以上である。常に投手優位のカウントを作ることが出来ており、相手打線も攻め手がなくなる印象である。積極的に手を出せば少ない球数でアウトカウントを稼がれてしまい、球数を投げさせようとしてもすぐに追い込まれてしまうという悪循環が生まれてしまう。セリーグ全体を見渡しても攻略し辛い投手にすでになっているのではないだろうか？中10日で球数制限も行っているのだが、投球スタイル的には巨人の大エース菅野と比べたくなるような素晴らしい投球を披露してくれている。
リリーフ陣は4点のリードがある中で星ー田口ー今野と1イニングずつつないでみせた。やはり今野に疲れが見えるのだが、今後はどういった起用になっていくだろうか？

打線は、トミージョン手術から復帰した東の前に苦しんだ。久々の1軍マウンドだったのだが、東のボールはキレていた。新人王を獲得したルーキーイヤーの投球と遜色ないボールを投げていたのではないだろうか？キレ、コントロールともに抜群であり、中々得点の気配がしてこなかったのだが、5回にこの日からスタメン復帰となったサンタナが四球を選ぶと西浦、奥川に連打が飛び出し、1アウト満塁という絶好のチャンスが訪れる。しかし塩見が三球三振に倒れ、一度は期待が萎んでしまったのだが、そんな中で打席に立ったベテラン青木が大仕事を果たしてみせた。東の外角低めのカットボールを上手く捌くと、打球はレフトポール際に飛び込む満塁ホームランとなった。東のボールは失投ではなく、左打者の青木から見てかなり遠いゾーンのボールだったと思うのだが、元来強く踏み込んでボールを捌く青木の手の届く範囲内のボールではあった。しかしあのコースをスタンドにまで運んでしまうのだから恐れ入ってしまう。青木の技術とパワーが融合したスペシャルな打撃を見せてもらった。
それにしても今月に入ってから塩見、村上、山田、青木と主力の打者の満塁ホームランが相次いで飛び出している。こういったことが起こっているからこその9連勝だと思うのだが、信じられないことだらけである。

この日は2位阪神、3位巨人が共に敗れたため、ゲーム差を広げることに成功した。来週の巨人、阪神との6連戦が一つの山場になると思うのだが、出来るだけ優位な状況で6連戦に向かいたい所である。まだまだこれからである。


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