今シーズンのスワローズを語る上で「代打川端」の存在を忘れるわけにはいかない。ここ数年腰痛に苦しめられ本来の姿を見ることが出来なかったのだが、今シーズンは代打の切り札として、チームを何度も勝利に導いてくれた。86打数32安打、打率.372という数字は驚異的である。代打としても82打数30安打で打率.366という数字を残してみせた。川端の場合おそらく今現在でもコンディション面での不安を抱えており、だからこそ代打での一振りに全てを賭けているのだと思う。守備はもちろんなのだが、走塁面でも不安を抱えているからこそ、DHなどでの出場も難しいのだと思う。これだけ打てるのであれば、オスナが不振に陥ったシーズン終盤など奥の手として川端の先発起用も考えられると思うのだが、実際には実現することはなかった。「代打での一振り。」これが今の川端に与えられた役割であり、今の川端に出来る限界なのだと思う。
しかしだからこそ今シーズンの川端は一段と輝きを増していたと言うことも出来るのだと思う。ゲーム終盤の勝負所で代打川端がコールされるとそれだけで球場の雰囲気を変えられるだけの存在感を放っていた。おそらくコロナ前であれば、球場が熱狂に包まれたであろうことを容易に想像することが出来る。今シーズンの川端はそれぐらい凄いことを成し遂げていたのだと思う。3割打てば一流と言われる野球の世界で代打での1打席勝負をシーズン通して続けていくというのは難しいタスクだし、結果を残し続けるのはメンタル的にも厳しいものがあると感じる。そんな中でこれだけの高打率を残せるのだから、やはり川端の打撃技術はプロの世界でも突出したものを持っているのだと思う。2019年、2020年シーズンの川端は見ているのも辛くなってしまうくらい自分の打撃が出来ていなかった。そんな川端がこういった形で復活を遂げたことを大いに喜びたい。ポストシーズンでの活躍も楽しみである。
過去記事はこちらから→「川端慎吾」
そんな川端がヒットを重ねる中で改めてスポットライトが当たったのが、前回のリーグ優勝時に指揮を執っていた真中氏だった。真中の現役時代の記憶はルーキーイヤーからしっかり残っており、小柄ながらパンチ力のある打撃に定評のある好打者だったのだが、2007年の代打安打の日本記録に関しては、それほど強く印象に残っていない。もちろん代打安打の日本記録を達成したことは知っていたが、川端ほどの存在感を放っていた記憶はない。しかし今シーズン川端が代打でこれだけヒットを重ねても真中の日本記録に届かなかったという事実を見て、この記録は何気に凄い記録であることを実感することが出来た。
2007年の真中は、川端のような代打の切り札という印象は残っておらず、勝負所で必ず起用されるということでもなかったと思うのだが、逆にそんな環境下でもヒットを積み重ねたことはそれはそれでプロとして素晴らしいことだと感じる。今シーズンの神懸っていた川端でも更新できなかった代打でのシーズン31安打という記録は、今後破られることはあるのだろうか?もしセリーグもDH制が導入されるようなことがあれば、本当に真中の日本記録は将来アンタッチャブルレコードと呼ばれるような記録になるかもしれない。
川端、真中という2人の代打職人の記録を振り返ることで改めて代打の難しさと真中、川端両選手が記録した安打数の凄さを感じることが出来た。
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