ヤクルト4-0巨人(ヤクルト2勝0敗)
「凄すぎて何も言えない。」、ヒーローインタビューで塩見が奥川に対して送った言葉が全てを表していたと感じる。CSファイナルステージの初戦を任されたプロ2年目の20歳の投手が、巨人打線相手に無四球完封勝利を飾ったという事実は、形容する言葉が見付からないくらい凄いことである。プロ入り、初完投、初完封がCSの舞台であるという部分にスター性を感じさせてくれる。
ヤクルトファンのCSの記憶は、2018年に菅野にノーヒットノーランを喫して敗れてしまったところで止まってしまっていたのだが、その記憶を塗り替えてくれるような奥川の快投だった。
昨日の記事でCSのポイントとして、①四球、エラー、ホームラン、②初回の攻防というものを挙げさせてもらっていたのだが、先発の奥川は、初回をしっかり三者凡退で立ち上がり、その裏の味方の攻撃に繋げてみせた。そして9回を投げ、被安打6、無四球、奪三振9での完封勝利とほぼ完璧な投球を見せてくれた。初回をスムーズに立ち上がり、試合の流れを作り、四球、ホームランを許さないという昨日の記事で挙げたポイントをしっかりクリアしてくれた。
奥川の凄さ、安定感という部分はシーズン中何度も目にしてきたのだが、それでもCSの初戦という舞台では、普段と違った姿が出てきてしまう不安もあったはずである。しかし今日も立ち上がりから「奥川は奥川である。」ことを証明するような安定感抜群の投球を見せてくれた。立ち上がりも初めてランナーを許した3回も、1アウト1,3塁のピンチを招いた5回も、先頭の丸にヒットを浴びた7回もプロ入り後最長イニングとなった8回、9回もファンとしては、奥川の不安要素を探しながらの観戦となったのだが、その不安を1つ1つ取り除いてくれた。98球での完封勝利、いわゆる「マダックス」というやつである。
岡本和が不在とは言え、巨人打線を抑え込むことは簡単ではない。その巨人相手にも常にストライク先行で主導権を握りながら投球し続けてしまうのが奥川という投手の一番の武器である。球数を減らしながら長いイニングを投げることは、現代野球の先発投手に求められるスキルの一つなのだが、プロの世界のバッターを抑えることはそんなに簡単なことではない。そんな簡単ではないことを簡単にやってのけてしまうように感じさせる奥川の投手としての完成度はやはり群を抜いている。
この大舞台での完封劇。本当に「凄すぎて何も言えない。」
打線は初回に巨人先発の山口を打ち崩すことに成功した。奥川が完璧にな立ち上がりを見せた直後に、先頭の塩見が2ベースヒットで出塁すると1アウト1,3塁から村上の放ったショートフライでタッチアップをした塩見が生還し、先制点を奪うことに成功すると、この試合5番に入ったサンタナが山口の外角のスライダーを捉えると打球はレフトスタンドに飛び込む2ランホームランとなり、初回に幸先良く3点を奪ってみせた。11月1日以来のゲームで立ち上がりの難しさはあったと思うのだが、その立ち上がりに3点を奪えたことは試合の流れを掴むという意味で大きかった。
先制点となった村上のショートフライに関しては、坂本の捕球地点と捕球体制を見て、反応良くスタートを切った塩見の好プレーだった。昨シーズンまではその潜在能力の高さをゲームの中で発揮することが中々出来ていなかったのだが、今シーズンは実戦でしっかり結果を残し、経験値を高めてみせた。その実戦経験がCSの舞台でも役に立った。塩見の武器の一つである走塁でもぎ取った見事な先制点となった。
5番に入ったサンタナのホームランも試合の流れを掴む上で大きな一発となった。村上の犠牲フライによる1点で終わるのと2点追加するのとでは、その後の緊張感が違っていたはずである。私のイメージではサンタナは今日ホームランを放ったような右投手の外角のボールに関しては、逆らわずにライト方向に強く叩くバッティングをする印象が強いのだが、今日は巻き込むように上手くレフト方向へ引っ張ってみせた。村上の後ろの打者というのは、今シリーズでもポイントの1つになる可能性が高いのだが、今日のゲームではその5番打者がしっかり結果を残してくれた。
山田、村上の状態など気になる部分もあるのだが、まずは初回にしっかり先制点を奪って、そのまま逃げ切れたことが大きいと感じる。明日のゲームでは巨人は中4日で菅野を先発投手として起用してくるが、各打者が対応することが出来るだろうか?2勝のアドバンテージを持って菅野と対峙できるシチュエーションを作れたことは大きなことだと感じる。
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コメント
脱帽。そして夢があり過ぎて笑いが止まりません。。(笑) まだ2年目で20歳ですからね。
もう奥川"くん”なんて、くん付けじゃ失礼ですね。
JEF九郎さんへ
奥川さんの見事な投球でした。夢を見させてくれる投手ですよね。