石川で王手

日本シリーズ第4戦
ヤクルト2-1オリックス(ヤクルト3勝1敗)

プロ20年目の41歳石川が日本シリーズ初勝利を手に入れてみせた。シーズン終盤は打ち込まれる場面が目立ち、もしかするとポストシーズンの登板はないのかな?とも感じていたのだが、日本シリーズ第4戦という大事なマウンドを任された。そのマウンドで石川本来の輝きを取り戻してみせた。20年間で重ねたシーズンの勝ち星は177に上るのだが、今日の日本シリーズでの1勝は石川にとっても特別な1勝になったに違いない。若手、中堅、ベテラン先発陣が融合した中で3つの勝利を重ねてみせた。見事である。願わくば、このまま日本一になる瞬間を見させてもらいたいものである。

石川は、立ち上がりからいつも通りの投球を披露してくれた。様々な球種を駆使して、内外角を広く使って打者を抑え込んでいく姿は、芸術的である。吉田正、杉本、T-岡田といった長距離砲を技で抑え込んでいく姿は、圧巻だった。2回に安達をダブルプレーに斬って取ってからの投球は危なげがなく、オリックス打線を翻弄していった。6回も2球で2アウトを奪い、このままであれば7回も続投するのかな?という所までこぎつけていたのだが、ここから福田にヒットを許すと続く宗にもフルカウントからライト前ヒットを許してしまう。ピンチが広がり、踏ん張りどころになると感じたその瞬間、ライトのサンタナが打球をファンブルし、その間にスタートを切っていた福田に生還を許してしまった。ヤクルトにとっては非常に痛いミスが出てしまった。しかし石川は続く吉田正をインコースのシュートで詰まらせ、セカンドフライに打ち取り、勝ち越し点は許さなかった。結果論ではあるのだが、この場面で石川が吉田正を抑えたことがこの試合の大きなポイントになったと感じる。嫌な流れを断ち切る石川の素晴らしい投球となった。結局石川はこの回でマウンドを下りたのだが、6回を1失点にまとめ先発としての役割を十分に果たしてくれた。
そんな石川の好投を見殺しにしなかったのは2人の助っ人外国人選手だった。6回にタイムリーエラーを犯してしまったサンタナなのだが、このゲームでも昨日に引き続いてホームランを放ち、打撃でチームに貢献してみせた。2回に放った先制のソロホームランは、山崎颯の150キロのストレートに力負けせずにライトスタンドに運んだもので、サンタナらしい逆方向への見事なホームランとなった。サンタナはエラーを犯した直後の6回にも2アウトランナーなしという場面から四球を選び、チャンスメイクをすると中村がヒットで続いた後、ここまでヤクルトの右打者が抑え込まれていた比嘉からオスナがタイムリーヒットを放ち、勝ち越しに成功するとともに石川に勝ち投手の権利を付けてみせた。オスナを抑えるためにマウンドに上がった比嘉相手に追い込まれながらも、外角のスライダーによく喰らい付いてみせた。タイミングは外されており、打てる雰囲気はあまり感じなかったのだが、最後まで諦めずに喰らい付いたオスナの気持ちが伝わる打席となった。
この1点のリードを7回から石山ー清水ーマクガフのリレーで守ってみせた。昨日のゲームで素晴らしいボールを投げ込んでいた石山が任された7回をしっかり無失点で凌ぐと8回は清水が代打モヤに天井直撃のアンラッキーなヒットを許しながらも続く福田をダブルプレーに打ち取り、バトンを抑えのマクガフに繋いでみせた。マクガフはオリックスの2番からの好打順と相対したのだが、吉田正にヒットを打たれた以外は、力でねじ伏せ、昨日に続いて2日連続でセーブを上げてみせた。石山も清水もマクガフも1点リードという痺れる展開での登板となり、プレッシャーも大きかったと思うのだが、しっかり自分の投球を披露することが出来たのではないだろうか?リリーフ陣なくして今シーズンのリーグ制覇はあり得なかっただけに、今日のゲームはそんなシーズンを象徴するような勝ちゲームとなった。

終わってみればやはり6回の攻防が今日のゲームのポイントだったと思う。ミスが絡んだ中で同点に追い付かれてしまい、嫌な雰囲気が漂っていた中でも強打者吉田正をしっかり抑えた石川。逆に6回裏は、山田四球の後村上がファースト来ーなーダブルプレーに倒れ、ここでも雰囲気が悪くなりかけたのだが、ここからサンタナ、中村が出塁し、オスナの決勝タイムリーヒットに繋げてみせた。「野球は流れのスポーツである。」などと言われることがあるのだが、6回の表裏の攻防は、一旦オリックス側に傾きかけた流れをヤクルトが引き戻してみせた。相手に傾きかけた流れを止める石川の投球と打線の繋がりだった。

最後まで気の抜けない競り合いばかりでファンとしても観戦していて息が詰まる場面が多いのだが、そんな展開でも3勝1敗とリードを奪い、日本一に王手をかけてみせた。オリックスは山本、宮城という左右のダブルエースが控えていることを考えると、ヤクルトとしては是非明日で日本一を決めてもらいたいところである。1つの勝ち負けで流れが大きく変わるのが、短期決戦である。流れが変わる前に一気に決めてもらいたい。

にほんブログ村 野球ブログ 東京ヤクルトスワローズへ
にほんブログ村








コメント

  1. 闘将 より:

    以下のオスナのインタビュー記事を見ました。こんなコメントを助っ人外国人がするチームは絶対に強いと感激しました。今日は川端の出番、タイムリーを期待したいです!

    ――この日本シリーズ、きのうはサンタナ選手、きょうはオスナ選手。助っ人がチームを救っていますね
    「僕たちが救っているわけではない。他のみんなのカバーをしている考え方だと思う。主軸の山田選手、村上選手、青木選手が打てない時は僕たちがカバーしてあげている。僕やサンタナが打てていない時はみんながカバーしてくれていると思っている。それこそがチームだと思います」

    ――サンタナ選手のミスもカバーしましたね
    「まさにそうですね。野球はそういうスポーツなので、選手はエラーしたくない気持ちですが、自然に出てしまう。周りの選手がどれだけカバーできるかが大事なんです」

  2. 浦添パンダ より:

    久しぶりに面白い日本シリーズになりましたね。
    プロ野球を語るとき、打率や本塁打数などの打撃成績や防御率、球速などの個人持つ数値の集まりとしてチームを語ること(順位予想など)がありますが、スワローズを見て感じることは、そんな数値では測れないチームとしての一体感、雰囲気の良さです。

    そして我々ファンがスワローズを愛して止まないのは、そんな懸命な野球を見せてくれるからなんだと改めて思いました。

    もちろん、村上や山田など数字を残している選手もいますけどね。

    とにかく今夜ですね。テレビの前ですが、懸命に応援して楽しみたいと思います。

  3. FIYS より:

    闘将さんへ

    ヤクルトは外国人選手を獲得するのが上手い球団だと言われますが、チームの雰囲気として外国人選手が仕事をしやすい環境を作っているということも言えそうですよね。オスナもサンタナも一生懸命プレーしてくれる選手ですよね。

  4. FIYS より:

    浦添パンダさんへ

    一時も気の抜けないような面白い日本シリーズになっていますよね。今日決めることは出来ませんでしたが、神戸で山本、宮城を打ち崩してもらいたいですよね。

タイトルとURLをコピーしました