平野歩夢とかショーン・ホワイトとか羽生結弦とかネイサン・チェンとか

オリンピック

スノーボードHPにしろフィギュアスケートにしろ私はオリンピックくらいしか観戦する機会がないのだが、タイトルに名前を挙げた選手に関しては、素人目にも凄さが伝わってくる選手達である。各競技のレベルを引き上げ、一時代を築いた、または築いている選手達である。

今日は男子スノーボードHPの決勝が行われた。平昌オリンピックでのショーン・ホワイトVS平野歩夢のハイレベルな争いから4年が経過したのだが、今日は平野歩夢が頭一つ抜けた試技を披露し、文句なしの金メダルを獲得してみせた。
冒頭にも書いた通り私は、この競技を観戦するのは、オリンピックくらいなのだが、トリノオリンピックの時のショーン・ホワイトの試技に衝撃を受け、それ以来オリンピックではショーン・ホワイトの試技を見ることが楽しみの一つとなっていた。素人目に見ても高さ、技の難易度、完成度が図抜けていることが分かったからである。明らかに他のトップ選手との違いを見せてくれる存在だった。おそらくスノーボードHPという種目はショーン・ホワイト登場、以前、以後に分けて語られることになる種目なのだと思う。それ程までにこの選手が残してきた功績は大きかった。
その偉大なチャンピオンの背中を追った世界中の選手達が技の難易度、完成度を更に高めて迎えたのが、今回の北京オリンピックだったのではないだろうか?35歳となったショーン・ホワイトの引退試合にもなったのだが、そのショーン・ホワイトは、しっから「らしい」滑りを見せ、4位に入賞してみせた。
そしてこの大舞台で以前ショーン・ホワイトに感じた衝撃的な試技を披露してくれたのが、23歳になった平野歩夢だった。15歳で迎えたソチオリンピックで銀メダル、19歳で迎えた平昌オリンピックでも銀メダルを獲得していたのだが、その後も難易度の高いトリックへのチャレンジを続け、北京オリンピックの舞台で「トリプルコーク1440」という最高難度のトリックを完璧に決め、他の選手との違いを見せ付けた中で金メダルを獲得してみせた。1回目の試技は転倒し技をつなげることが出来ず、得点が伸びなかったが、この時点で最後まで技を繋ぐことが出来れば、金メダルは間違いないだろうなという試技を見せていた(実際には2回目の試技の得点ではスコット・ジェームズの得点は上回れなかったのだが…)。ショーン・ホワイトが引き上げたレベルを次世代の選手達が追い、平野歩夢がそのバトンを引き継いだような印象が残った。やはりXゲームズ系の種目の選手たちは「国を背負う」という感覚よりも個々が自分を高めて表現するという部分に重きを置いている選手が多いように思う。国籍とかそんなちっぽけなものに拘らずにリスペクトしあう姿が見られるのが何とも清々しい。
今回の平野歩夢の試技は本当に良いものを見させてもらえたと感じた。ここから平野歩夢の背中を追って、また競技レベルが上がっていくのだと思う。
おそらく採点ルールなども近い将来変わってくるはずである。

フィギュアスケートに関しても私は、ほとんど観戦することがなく、今回もハイライトを少し見たくらいなのだが、オリンピック2連覇を達成した羽生結弦が「クアッドアクセル」に挑戦し続けてきたことに素晴らしさを感じた。フィギュアスケートも採点競技である。20年前ほどまでは、採点が非常に分かりづらく、私はスポーツとして成り立っているように思えないというような感想も持ってしまい、いまいち入り込めない競技となっているのだが、ジャンプの難易度が上がっているという部分については、スポーツ競技として大切な部分であると感じていた。うろ覚えではあるのだが、フィギュアスケート界で一時代を築いたプルシェンコも難度の高い演技を追い求めていくことの重要性を語っていたような記憶がある。
そのプルシェンコに憧れていた羽生がフィギュアスケートのレベルを大きく押し上げてみせた。そしてついに前人未到の「クアッドアクセル」が公式に認定されるところまでフィギュアスケートにおけるジャンプの難易度を引き上げてみせた。残念ながらクアッドアクセルは転倒してしまい、成功することはなく、3連覇の夢も断たれてしまったのだが、それでも羽生が世界からリスペクトされるスケーターであることに変わりはない。
そして羽生の背中を追ってきた次世代の選手も育ってきている。今回金メダルを獲得したネイサン・チェンは、クアッドアクセルこそ挑戦していないが、難度の高い4回転ジャンプを複数種類高いレベルで決めることが出来る新世代のスタースケーターである。今後羽生がどういった道を歩むのかまだ分からないのだが、フィギュアスケートのレベルは着実に高まってきている。フィギュアスケートという競技が競技スポーツとして生き残っていくために必要なことを羽生は身をもって示してくれた。次はネイサン・チェンが引っ張りながら、一段とフィギュアスケートのレベルを引き上げていくのではないだろうか?

冬のオリンピック種目は、採点系の競技も多く、どうしてもその採点や判定に目が行きがちではあるのだが、採点度返しに凄さを感じさせてくれる選手が時々現れる。そんな選手の試技、演技を見ることが私の冬のオリンピック観戦の1つの楽しみになっている。そのことを感じさせてくれる選手達が、平野歩夢であり、ショーン・ホワイトであり、羽生結弦であり、ネイサン・チェンである。

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