北京オリンピックの日本選手団の主役候補の一人だった高木美帆が1000mで金メダルを獲得した。3000m6位、1500m2位、500m2位、団体パシュート2位、1000m1位という成績は、素晴らしい成績である。中長距離系の種目から短距離系の種目まで幅広い種目にエントリーしたのだが、タイトなスケジュールの中でもしっかり結果を出したところに「本物のオールラウンダー」としての凄みを感じさせてくれた。
中学3年次にバンクーバーオリンピックを経験するなど運動神経抜群なスーパーキッズとして若くしてメディアに取り上げられてきたのだが、ソチオリンピックの代表から外れるなど、順風満帆なスケート生活ではなかった部分もあったはずである。スーパーキッズとして若くして有名になった選手でも、その後伸び切らずに、夢半ばでリタイアしていくスポーツ選手も決して少なくない中で、高木美帆は腐ることなく、自分の実力を伸ばしていった。
今大会は出場した全種目でメダルが期待できる状態にあったのだが、最初の種目の3000mは6位、最も金メダルに近いと思われていた1500mで銀メダルに終わり、調子自体あまり良くないのかな?と感じる部分もあったのだが、それ程ワールドカップでも出場機会が多くない500mで銀メダルを獲得し、周囲を「アッと」言わせてみせた。私自身も高木美帆の500mの滑りには驚かされた。特にスタート100mまでの滑りがこれまでの滑りとは全く違い、元々500mを専門にしていた選手のような滑らかさを感じた。これだけのスタートダッシュが出来るのであれば、銀メダルにも納得である。
団体パシュートでは惜しくも銀メダルに終わってしまったのだが、最終種目となった今日の1000mで金メダルを獲得し、名実ともに日本選手団の主役に躍り出てみせた。身体的にも精神的にも疲れが出ているはずなのだが、それを感じさせない見事な滑りだった。前半から突っ込んだ中で後半もスピードを維持出来る高木美帆の特徴が表れたレースだったのではないだろうか?
日本女子スピードスケート界のオールラウンダーと言えば80年代~90年代にかけて活躍した橋本聖子の印象が強いのだが、その橋本聖子の上を行くオールラウンダーが表れたことを実感する北京オリンピックとなった。
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コメント
まず小林陵侑がノーマルヒルで金
平野歩夢がドラマチックに最高難度を決めて金
そして5種目の高木美帆が遂に1000で金
とずっと盛り上がったオリンピックでしたね
高木美帆は何本滑ったのかな。スタミナも凄いですよね
saboさんへ
東京、北京とコロナ禍でのオリンピックということもあり、オリンピックの問題点もはっきり露出した格好になった印象です。
それでもやはり世界トップレベルのアスリートの姿を見られるということは、スポーツ観戦好きにとっては非常にありがたいことであると感じています。