匠であります

ヤクルト1-0阪神

40歳青木の一発で42歳石川に21年連続となる勝ちが付いた。長年に渡りヤクルトスワローズを支えるベテラン選手の奮闘に私自身興奮を隠すことが出来ない。青木も石川も年齢を重ね、老いというものを感じているはずである。それでも長年の野球人生で積み上げてきた「匠の技」が2人にはある。プロの技術が詰まった青木、石川のプレーぶりは、おそらく全プロ野球選手のお手本になるものなのだと思う。

石川は、初回のピンチを凌いだことでリズムを作ることに成功した。初回は1アウトから熊谷、佐藤輝に連打を浴び、その後ダブルスチールも決められ、ピンチを広げると大山は四球で歩かせてしまい、1アウト満塁という場面を作ってしまった。チーム状態を考えると初回とは言え、大量失点は、即敗戦を意味する可能性が高かったため、何とか凌がなければならなかったのだが、ここで石川がベテランらしく落ち着いた投球を披露してくれた。ロハス・ジュニアをインコースのストレートで詰まらせ、キャッチャーへのファールフライに打ち取ると、小野寺には同じくインコースへのストレートで見逃し三振を奪い、ピンチを脱してみせた。石川のストレートは130キロ台中盤である。しかしそのボールで打者を詰まらさせる、手を出させない技術が石川にはある。初回だけで30球を要してしまったことは、石川にとってはマイナスなのだが、それでも先制点を与えなかった匠の投球術は、石川の真骨頂である。
2回以降は、リズムよく阪神打線を抑え込み、ランナーを出しても、後続をダブルプレーに仕留め、大きなピンチなく、6回を無失点で投げ切ってみせた。いい当たりをされる場面はあったのだが、石川のリズムの良さが野手陣の好守を呼び込んだ。

その石川の好投に応えたのが40歳青木の一発だった。今シーズンは開幕から中々結果が出ず、苦しんでいるのだが、頭を丸め、気合を入れ直してから、徐々に当たりが出始めている。この日もチームが苦しむ中で一人気を吐く2安打1ホームランで、「打のヒーロー」になってみせた。3回まで初対決となるウィルカーソンの前に抑え込まれていたのだが、4回の先頭打者として打席に入った青木は、カウント3-1からウィルカーソンがストライクを取りに来た甘いストレートを逃さなかった。強く振り抜いた打球は、ライトスタンドに飛び込む先制ホームランとなった。
ウィルカーソンは、ボール自体に凄みは感じないのだが、どの球種でもストライクを取れるだけの安定感があり、長身を活かした角度と緩急、ボールを動かすことで打者に的を絞らせなかった。各打者が自分のスイングをさせてもらえない中で、青木は1打席目のヒット、2打席目のホームランとしっかり自分のスイングをすることが出来ていた。メジャーでプレーした経験も活かしたであろう見事なバッティング技術だった。まさしく「匠の技」を見せ付ける決勝ホームランとなった。

私もアラフォー世代だけにこの日の石川の投球、青木のバッティングには普段以上に痺れてしまった。やはりチーム状態は決して良いとは言えないのだが、その中でもベテラン2人の活躍で勝利出来たことを明日以降に繋げてもらいたいものである。この日の勝利はヤクルトファンにとって、いつもの勝利とは違った感情を抱かせる勝利になったのではないだろうか?

P.S ベテラン2人の活躍の陰に隠れる形となりましたが、スタメンマスクを被り、完封勝利に貢献した19歳内山壮も見事でしたよね。正直9回は古賀か松本直に代えてくるかな?とも思ったのですが、高津監督は最後まで内山壮に任せましたね。まだまだ捕手として勉強中の選手なのですが、石川の投球に様々なことを感じることが出来たのではないでしょうか?石川の178勝目に大いに貢献できたことを、今後のプロ野球生活に活かしてもらいたいですよね。ナイスリードでした。

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コメント

  1. 超匿名 より:

     初回に球数を費やしたことに加え、最小スコアだったこともあって、試合終了の声を聞いた時は、試合時間が2時間半だったとは思えない疲労感がありました。
     石川の体力やチーム状態を考えると、石川が勝つ、石川に勝たせるのは容易なことではないでしょう。昨日は勝利までの細い糸を、懸命に手繰り寄せることが出来たといった感じでしたね。バックの守りも素晴らしかったし、遅い直球で見逃しを奪う様は痛快ですらありました。
     最近の石川は登板する度に何か記録が付いてくる感じですね。この勝利で21年連続勝利ですか。日本記録は22年連続だそうなので、来年も現役を続けたいと本人が思える投球を今後も期待したいです。
     青木のホームランも驚きました。今季の状態ではヒットはともかく一発は期待できないと思っていましたが、見事に裏切ってくれました。
     勝利に覆い隠された形になりますが、得点力の無さは今日も深刻でしたね。

  2. FIYS より:

    超匿名さんへ

    苦しいゲームでしたが、青木、石川の活躍で手にした1勝は、ファンのテンションが上がる勝利でしたよね。石川に関してはどうしても「勝利投手」という部分に注目が集まってしまいますからね。他の選手もプレッシャーもあるでしょうね。

  3. sabo より:

    去年の良かった石川のピッチングが戻った感じですね
    去年からストレートの比率をぐっと上げて良くなりましたよね(一方で打ち込まれるときはストレートが走っていない日ですね)

    1-0ゲームを最後まで内山に託したのも燃えましたね
    マクガフも納得いく球を投げているように感じました
    この日の内山に関してはキャッチングやインサイドワークも文句なしだったと思います。フレーミングもいい塩梅に小さくて良かったです

  4. FIYS より:

    saboさんへ

    確かにストレートの割合が高かったですかね?内山壮との年齢差バッテリーは中々面白かったですね。

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