新章 小川ー中村

ヤクルト3-0阪神

小川ー中村の同級生バッテリーに関しては、このブログを書き始めた頃から何度も触れさせてもらっていた。小川のルーキーイヤーから若きバッテリーが躍動する姿は、今後のヤクルトの将来を明るく照らす象徴のようだった。そこから2人は経験を積み、2015年にはリーグ優勝、2021年にはリーグ優勝、日本一に大きく貢献してみせた。
お互い32歳を迎えるシーズンは、小川は開幕投手、中村は背番号「27」を背負ってのシーズンとなったのだが、小川は開幕戦から苦しい投球が続き、勝ち星が付かず、中村は開幕前に怪我で離脱し、今日が復帰戦となっていた。そんなゲームで6連勝と勢いに乗り始めている阪神の流れをきっちり止めたのが、この2人の活躍だった。ベテランと呼んでも差し支えないような年齢が近付いている中で「小川ー中村」の同級生バッテリーの物語も「新章」に突入した印象である。

浜風の吹く甲子園で小川ー中村のバッテリーが選択したのは、ストレートを軸とした強気の投球だった。初回からストレートをガンガン投げ込み、阪神の各打者を打ち取って行ってみせた。今シーズンの小川はこれまで相手打者に簡単に打ち込まれてしまう場面が目立ち、シンプルに状態が上がっていないように感じていた。特にストレートの走りが悪いため、変化球を散らしながら何とかごまかして試合を作ろうとするゲームが続いていた。しかし、今日のゲームでは、ストレートが良く走っており、阪神の各打者をストレートで差し込む場面が続いた。球速表示自体は、これまでのゲームと大きく変わらなかったと思うのだが、打者の反応は明らかに変わっていた。その小川のストレートを信じてリードし続けたのが中村だった。多彩な球種を精度高く投げ込める小川ではあるのだが、この日はストレートの投球割合を増やして、最後まで強気の姿勢を崩さなかった。中村らしい強気のリードがハマったのではないだろうか?
最大のピンチとなった6回裏も1アウト2,3塁から中野を浅いセンターフライに打ち取ると、続く佐藤輝に対しては、6球全てインコースのストレートで押し、最後はサードファールフライに仕留めてみせた。ホームランを打たれれば同点という場面であれだけ執拗に佐藤輝のインコースへストレートを要求し続けた中村のリードも素晴らしければ、そのリードに応えた小川の投球も素晴らしかった。広い甲子園、ライトからレフト方向への強い浜風、もしホームランを打たれてもまだ同点、といういくつかの要素はあったと思うのだが、それでも6球全てインコースのストレートというのは、小川ー中村のバッテリーが強い信頼関係で結ばれていることを示す配球だったのではないだろうか?この回のピンチを無失点で凌いだ小川は、7回、8回、9回とマウンドに上がり続け、112球で無四球完封勝利を飾ってみせた。ここまで勝ち星がなかったことが嘘のような見事な完封勝利となった。その完封勝利に貢献した背番号「27」中村の存在も際立つゲームとなった。

打線は中村が戻ったこともあり、オーダーを多少いじってきた。1番に塩見、5番にオスナ、6番に太田、7番に中村、8番に長岡を起用してきた。
そのオーダーが当たる形となった。初回は、先頭の塩見がヒットで出塁すると2アウト後、村上に先制の2ランホームランが飛び出した。正直今日の西勇の調子は良かったため、この初回に奪った2点は非常に大きな得点となった。村上は追い込まれていたのだが、甘く入ったチェンジアップに体勢を崩されることなく、レフトスタンで運んでみせた。コースが甘かったとは言え、西勇の得意球の1つであるチェンジアップをしっかり待ってレフト方向に運ぶ辺り、非常に技術も感じる一打となった。風にも乗ったとは言え、左打者で甲子園のあそこまで逆方向に飛ばせる打者はそう多くはいないはずである。
2回には太田が高山の落球で出塁すると、8番に打順が下がった長岡が詰まりながらもレフト前に落とすタイムリーヒットを放ち、1点を追加してみせた。長岡の前の中村の進塁打も効果的だったし、長岡の一打に関してもどん詰まりではあったのだが、それでも追い込まれてからの厳しいコースのボールをよくぞヒットコースに飛ばしたと感じた。レギュラーで試合に出続ける中で徐々に対応力を上げていっているように感じる。
6連勝中の阪神相手、ビジター甲子園でのゲーム、先発の西勇は好調だったことを考えれば、今日のゲームでの完封勝利は非常に大きな勝利になったと感じる。予想外の4連勝である。

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コメント

  1. sabo より:

    まさに新章開幕という試合でしたね
    とにかくパーフェクトバッテリーでした
    6回の対佐藤はその前の4回の配球が最高の伏線になったと思います
    内角責めで追い込んで最後は外の小さく落ちるカットボールで空振り三振
    外でしかも変化球のあの決め球は佐藤の脳裏に強く残ってたから6回は佐藤も内角ストレートしか来なくてもヤマを貼り切れなかったと思います

    あと阪神打線を線にせず細かく切ったのがお見事でした
    6安打されながらも1イニングに2本以上打たれたのはあの6回だけ
    しかも全部シングルヒット。中村のリードと小川の制球が阪神打線をまさに手玉に取ってました

    村上のツーランはこれぞ俺たちの四番という一撃でした。
    ヤクルトの左打者は全員が流し打ちを徹底していると藤川解説が言っていた通り、流し打ちが太田と長岡の得点に活きましたね。阪神西を攻略できたとは言えませんが首脳陣の作戦が1点に繋がったと思います。作戦をチームで徹底するのがヤクルトの強みですよね

  2. 超匿名 より:

     小川に厳しい私でも、無四球完封という結果には文句は全くありません。直球のキレやコントロールが良かったことに加え、正捕手の復帰も大きかったのでしょうね。首位巨人の主力に抹消者が出て差を詰めるチャンスなので、主力投手の小川でチーム連勝を伸ばせたこと、連勝中で勢いのある阪神を止めたこと、六連戦の初戦で他の投手を使わないで済んだことを考えると、価値の高い勝利だったと思います。

  3. FIYS より:

    saboさんへ

    佐藤輝との対決は見応えがありましたね。前の打席での三振があったからこそインコースを攻め続けられたという部分はあるでしょうね。

    村上は日本を代表する長距離砲ですね。

  4. FIYS より:

    超匿名さんへ

    この日の小川はほぼ完璧な投球だったのではないでしょうか?価値ある1勝ですよね。

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