ヤクルト2x-1DeNA(延長10回)
投手陣と野手陣との信頼関係、首脳陣と選手の信頼関係がしっかり築かれている今のヤクルトは強い。先発のサイスニードが粘りのピッチングを披露する中で、終盤に塩見のタイムリーで追い付き、延長戦に持ち込むと、最後も塩見にサヨナラタイムリーヒットが飛び出し、逆転勝利を手にしてみせた。今日の勝利で51勝24敗1引き分けとし、2位巨人に13.5ゲーム差を付けてみせた。セリーグの貯金を独占するとともにマジック53が点灯した。
マジックに関しては、珍しいものが見れたな。くらいの感想であり、特に気にする必要はないと思っている。2003年の阪神よりも早い段階でマジックが点灯したとのことなのだが、2003年の阪神は、ファンの熱量込みで勝利を重ねていった印象がある。2016年シーズンからの広島にも同じことを感じたのだが、ファンの後押しがあったからこそ強いチームが出来た上がったと思っていた。しかし今実際にヤクルトが同じような強さを見せてくれているのを目の当たりにすると、チームの一体感、信頼関係があるからこそ、勝利を重ねることが出来、その勝利にファンが熱狂しているのだということに気付くことが出来た。今の勝ちっぷりを見ていると、簡単に失速する姿は想像し辛い。多少波はあったとしてもこのまま逃げ切る姿を見たいと思っている。
先発のサイスニードは、前回の登板では打ち込まれてしまい、今日は強力DeNA打線が相手ということで、試合開始前は不安もあったのだが、力のあるストレートを軸に粘りの投球を披露してくれた。正直2回にピンチを招いたときは嫌な予感もしたのだが、1アウト後大和をピッチャーライナーでダブルプレーに仕留めると、3回、4回もヒットでランナーは許すもののダブルプレーで凌ぎ、リズムに乗ってみせた。DeNA先発の濱口の状態も良かっただけに、6回まで無失点に抑えたことが、後々の逆転劇に繋がった部分は大いにあると思う。7回に大田に先制ソロホームランを浴びてしまったのだが、7回1失点でゲームを作り、先発投手としての役割を十分に果たしてみせた。今シーズンのサイスニードは打ち込まれてしまう試合もあるのだが、ある程度ボールが走っていればストライクゾーンで勝負出来ていることが結果に繋がっていると感じる。
リリーフ陣は、8回から木澤ーマクガフー清水と1イニングずつ無失点で繋ぎ、味方の逆転サヨナラ劇に繋げてみせた。投手陣がしっかり粘ったゲームで終盤に野手陣が逆転してくれるというのは、チームとして理想的な勝ち方の1つである。
打線は、DeNA濱口を中々捉えることが出来なかった。2回~4回はランナーは出すものの、DeNAにお付き合いするように3イニング連続でダブルプレーでチャンスを広げられず、濱口をリズムに乗せてしまい、7回まで得点を奪うことが出来なかった。特に3番山田がブレーキとなってしまい、繋がりに欠けてしまった。今シーズンの山田は、しっかりスイングが出来ていないと感じることは少ないのだが、技術的な部分で迷いのようなものがあるのかな?と感じることが多い。もちろん最も活躍していた2014年~2016年シーズン前半に比べるとフィジカル的な部分での不安も多くなっているとは思うのだが、それ以上にどういうバッティングをすれば良いのか分からなくなっている部分があるように思う。少し前からボールに逆らわずに軽打する姿も見られ、こういったスタンスで行くのかな?と思わせることもあったのだが、それでも中々結果は付いてこない。山田に関しては、チームバッティングをして進塁打を放つようなバッティングは求められていないため、自分のスイングでしっかり結果を残す他ないのだが、三振やポップフライが多く、印象が悪くなっている部分がある。元々ボールをよく選ぶタイプの打者であり、追い込まれると三振も増えてしまうのだが、今シーズンは例年以上に打者優位のカウントでもボールを捉えられなかったり、ストライクコースを見送るケースが増えている印象がある。全盛期のような成績を期待することは、少し無理があることは分かっているのだが、もう少し打率を上げてきてもらいたいものである。
このまま行くと連敗してしまうかな?という雰囲気があったのだが、8回にオスナ、長岡のヒットでチャンスを作ると2アウト後、塩見に同点タイムリーが飛び出し、試合を振り出しに戻してみせた。オスナ、長岡のヒットは決して良い打球ではなかったのだが、しぶとい打撃でチャンスを作ってみせた。代打青木が凡退し、一旦はチャンスが萎みかけたのだが、ここで塩見が基本に忠実なセンター返しで、同点タイムリーを放ってみせた。2アウトからのタイムリーということで非常に大きな一打となった。今日の塩見はこれで終わらなかった。10回には中村のヒットと丸山和の死球でチャンスを作ると、続く長岡がしっかり送りバントを決め、1アウト2,3塁とサヨナラのチャンスを広げると代打川端が申告敬遠され、1アウト満塁というシチュエーションで打席が塩見に回ってきた。こういう大事な場面でプレッシャーに負けてきた塩見の姿はもうなくなっていた。カウント3-1と打者優位のカウントを作ると最後はサード宮崎の頭上を越すかという高いバウンドのゴロがサヨナラタイムリー内野安打となった。
今シーズンのヤクルト打線の軸となっているのは、間違いなく村上なのだが、この塩見も素晴らしい数字を残している。解説者からの評価も高く、「1番塩見」の存在感が日に日に高まってきている。昨シーズン前半の時点では、まだまだレギュラーを確保したとは言い切れない選手だったのだが、昨シーズンの終盤、CS、日本シリーズと緊張感の高いゲームを数多く経験する中で、メンタルを整えるコツのようなものを掴んだのではないだろうか?終盤の大事な場面で打席が回っても、期待して見ていられるだけの選手に成長してくれた。今日の同点打、サヨナラ打は、また一つ塩見を成長させるのではないだろうか?
P.S 2017年のドラフトで4位指名された塩見ですが、私は全くのノーマークの選手でした。しかし当時のブログ記事へのコメントでiracaさんより塩見を評価するコメントを頂きました。非常に興味深いコメントだなと思って頭に引っ掛かっていたのですが、本当に塩見は素晴らしい選手に成長しましたね。iracaさんの眼力に脱帽です。
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コメント
濱口の出来を考えると完封負けしてもおかしくなさそうでしたけれど、こういう接戦を勝てることに強さを感じます。この連敗しにくい体制には、追いかけるチーム側は気力を保つのが大変そうに思います。
去年後半の快進撃からヤクルトの勝ち方には驚き続きです。交流戦優勝から更新中の連続カード勝ち越しと来て最速マジック点灯と、マジックは数字が大きいのであまり意味を感じませんが、優勝に進んでいる感じがして気分は悪くありません。対象チームが今季圧倒的に対戦成績の良い広島だということも、ヤクルトへの流れを感じます。後は球団のシーズン最多勝利数での優勝でも決めてくれれば申し分ありません。
試合後半に解説の高木氏のヤクルト称賛が印象的でした。「ヤクルト強い」はともかく「理想的なチーム」、「付け入る隙が無い」、「先制しても逆転してもどんな形でも勝てる」等絶賛で、黄金期や野村の遺産と言われていた時代に解説を唸らせていたことを思い出しました。少し前まで谷繁氏あたりに酷評されていたので感慨深かったです。
超匿名さんへ
これだけ連敗しないと、確かに追いかけるチームは気持ちを保つのが難しそうですよね。
「強い。」と言われるチームになりましたね。
山田はストライクゾーンが合わなかった、というかストライクゾーン広かったからまあ仕方ないかなとも、次の日は打てそうだなとも思いました(お互いにストライクゾーン広かったので不公平とは思いませんでしたが試合の進行は早かったですね)
そんな中、最後は丸山の死球が大きかったな
もしかしたら丸山は今年のラッキーボーイなんじゃないか
もちろん実力で戦力として走守は十分だし、打撃も光るものがあるけど、それ以上の「持ってる」があるかもしれない
守備固めで5番に入るのは結構面白いかもしれません
ただバントだけは練習したほうがいいかも
saboさんへ
丸山は、しっかり審判にアピールすることが出来ていましたね。映像を見ても微妙なところでしたが、大きな死球となりましたよね。