指揮官は冷静だ

ヤクルト3-7阪神

小澤が序盤を上手く立ち上がってくれていたため、勝機もありそうに感じたのだが、先制点のチャンスを逃すと、小澤が4回にあと1つのアウトが取れず、ずるずると5点を失ってしまった。今のヤクルトと阪神の現状を考えると、ここで「勝負あり。」だった。
しかし高津監督は冷静にチームを見ることが出来ている。試合後のコメントで「個人の力、チーム力というのは、明らかに7月の8日、9日から変わっている(落ちている)と思います。」、「シーズン中に、まったく10日間動けなかった人たちが、帰ってきて、さあ動けるかと言われたら、そんな簡単なもんじゃない。」との言葉を残している。私達ファンは、主力メンバーが戻ってくると、「以前のヤクルトが戻ってくる。」と期待してしまうのだが、選手も人間であることを忘れてはならない。ただ単に選手を駒のように使うだけでは監督業は成り立たない。高津監督の采配、コメントには、私達素人が考える采配との違いを如実に感じさせてくる。苦しいチーム状況から目を背けずに、選手の頑張りを認めながら、采配をふるう辺りが高津監督の素晴らしさである。

先発小澤の投球は、悪くなかったのではないだろうか?序盤はストレートの走りも変化球のキレも抜群だった。阪神打線がボール球の変化球に思わず、手が出てしまう場面が目立ち、前回登板時の連敗ストップに続き、この日も大仕事をしてくれるのではないか?という期待感を持つことが出来た。しかし4回に先頭の島田に2ベースを浴びると、2アウトを取ってから、あと1つのアウトを取ることが出来なかった。3つの四球も絡む中で4本のタイムリーを浴び、この回を投げ切れずに5失点で降板することになってしまった。しかし小澤の投球に関しては、そこまでネガティブに捉える必要はないように思われる。支配下登録さればかリの時は、私自身はサイドスローになってからの投球をほぼ見たことがなかったため、どのような投球をするのか分からなかったのだが、ストレートも変化球も1軍の打者相手に通用するだけのキレとコントロールを有しており、最低限のレベルには十分達しているように思われる。ここ数年は、2軍でもリリーフ登板が主であり、先発として起用されたのは、支配下登録されてからであるため、長いイニングを投げ切る力に関しては、これから学んでいけば良い部分である。今後も先発で起用され続けるのかは分からないが、私が想像した以上に器用なところを見せてくれている。戦力として目途が立ちそうである。
リリーフ陣では、大西、田口、清水がコロナ感染以降初めてのマウンドに上がった。やはり離脱前のように投げるにはもう少し時間がかかるのかな?という印象である。コロナクラスターにより、2軍のゲームも一旦は中止となっていたため、実戦感を戻すのは難しいと思われる。しかしある程度点差が開いたゲームとは言え、好調阪神相手に3投手が登板出来たということはポジティブに捉えることも出来るように感じる。阪神の勢いに飲み込まれてしまうそうな怖さはあるが、こういったゲームで大西、田口、清水の登板機会を作る辺りも、高津監督をはじめとする首脳陣の冷静さを感じることが出来た。

打線は、阪神先発才木の前に先制点を奪えなかったことが痛かった。3回にオスナ、長岡の連打の後で小澤がきっちり送りバントを決め、1アウト2,3塁というチャンスを作っていたのだが、ここで塩見、山崎に一本が出なかった。ここで一本出ていれば多少ゲーム展開が変わった可能性もあるため、痛い場面ではあったのだが、小澤の送りバント含め、チャンスの作り方は理想的だった。仕上げの部分に関しては、今後個々の打者の状態を上げていってもらうほかないと思われる。
そんなゲームでも結果を残す、4番村上の存在も心強い。才木の力のあるストレートに全く力負けせず、センターバックスクリーン左に運ぶホームランを放つ辺りは、やはり日本を代表するスラッガーならではである。村上という打線の軸がしっかりしている限りは、1試合の中で何度かは得点のチャンスを作ることが出来るはずである。チャンスがあれば、確実に得点できる訳ではないのだが、チャンスが多ければ多い程、得点の確率が高まることは間違いない。チームが苦しくても結果やプレー態度でチームを引っ張る村上には毎度頭が下がる思いである。

現状からすると日曜日のゲームも劣勢が予想されるが、もし負けたとしても次のカードからしっかり切り替えて戦っていくことが重要だと思われる。戦力差や自チームの状態を冷静に判断できる高津監督がいること自体が、ヤクルトの大きな武器である。

にほんブログ村 野球ブログ 東京ヤクルトスワローズへ
にほんブログ村








コメント

タイトルとURLをコピーしました