ヤクルト4-2阪神
青柳の活躍があまりにも目立つため、多少影が薄くなっている印象もあるのだが、今シーズンの伊藤将は、ルーキーイヤー以上に安定した投球を見せている。正直今日の投球内容だったら、完封負けを喰らってもおかしくないような状態の良さだったように感じる。しかしその伊藤将に黒星を付けたのは、4番村上のバットだった。「村上で勝ったゲーム」は、今シーズンいくつもあるのだが、今日のゲームもそういった類のゲームだったと思う。最終的には村上、山田にホームランが飛び出し、2週間ぶりの登板となった高橋に勝ち星が付いた中での3連勝ということで理想的な勝利となった。
今日のスタメンは、昨日とはがらりと変わり、1番センター塩見、2番セカンド山田、3番ライトサンタナ、4番サード村上、5番キャッチャー中村、6番ファーストオスナ、7番レフト濱田、8番ショート長岡、9番ピッチャー高橋という右打者多めのオーダーとなった。そのオーダーで初回、2回と先制点のチャンスは作ったのだが、そこで1点を奪うことが出来なかった。徐々に伊藤将の調子も上がってきているように感じたため、ここで先制出来なかったことは後々に響いてくる可能性があった。
しかし私の不安をかき消すように、3回に1アウトから塩見が3ベースヒットで出塁すると山田が四球を選び、1アウト1,3塁とチャンスを広げてみせた。何とか1点でも奪いたい場面でサンタナは三振に倒れてしまったのだが、ここで大仕事をしてくれたのは、4番村上だった。カウント1-0からの2球目のツーシームが多少甘く入った所を逃さなかった。打球はライトスタンドに飛び込む先制3ランホームランとなった。冒頭から触れているように伊藤将の状態が良かったように感じたため、サンタナが三振に倒れた時点で、嫌な予感がしたのだが、そういった嫌な予感を真正面から吹き飛ばしてくれる村上の仕事ぶりにはいつも驚かされてしまう。当然阪神バッテリーは一発を警戒していただろうし、配球的にも大きなミスは犯していなかったのではないだろうか?多少甘めに入ったとは言え、あのコースのツーシームを失投とは呼ばないと思う。しかしそのボールをしっかり捉える村上の打撃は超一流である。打ってほしい場面で一流投手のボールをしっかり打ち砕くのだから、まさに「超一流」と呼ぶにふさわしいホームランとなった。主力選手をコロナ感染で複数欠く状態の阪神相手に3点という得点は非常に大きな得点となった。
タイトルの通りなのだが、今日は、村上がいなかったら負けていたと思う。そう言いたくなるくらい伊藤将の投球は素晴らしかった。高橋は高橋でしっかり腕を振ることが出来ており、久々の登板でも「らしさ」を見せてくれたのだが、高橋VS伊藤将という視点で見れば、私自身は伊藤将に軍配を上げたと思う。カウント球も勝負球も精度が抜群であり、おそらく打者からすると「打っていかなくてはいけないのだが、打てるボールがない。」という状態だったのではないだろうか?現代の先発投手として理想的な投球内容だった。それを打ち砕いた村上、最後に貴重な一発を放った山田は、やはりヤクルトのスーパースターである。
伊藤将が素晴らしかったということを伝えるための比較材料として高橋の名前を使ってしまったのだが、高橋もいつも通り、破壊力のあるボールを投げ込むことが出来ており、伊藤将とは違った凄みは感じさせてくれた。ボールは荒れ気味であり、余計な四球もいくつかあり、球数もかさんでしまったのだが、それでも力でねじ伏せる姿は、やはり魅力的である。6回に佐藤輝に浴びた2ランホームランは追い込んでからのホームランだっただけに防ぎようはあったと思うのだが、多少荒れても試合を作れるようになったという意味でも今シーズンの高橋らしさが表れた投球だったと思う。
7回以降は1点差という最少得点差の中で、久保、清水が無失点でリレーし、8回裏の山田のホームランを呼び込んでみせた。7回を久保に任せたことは意外だったのだが、その起用に久保が見事に応えてみせた。右の長距離砲に当たる場面で起用することは怖いと思うのだが、ある程度コントロールも良い投手なだけに左のワンポイント以外の起用も出来るようになれば、またブルペン陣に厚みが加わると感じる。おそらくアマチュア時代は、試合を作ることに長けた安定感のある先発投手だったと思うし、私自身はプロでもアマチュア時代のように先発としての活躍を期待した投手なのだが、プロの壁に何度も跳ね返される中でようやく自分の働き場所を手に入れかけている。今後の活躍も楽しみである。
最後はマクガフがきっちり三者凡退で締めくくり、これでチームは3連勝となった。首位を走る中で、負けていてもおかしくないようなゲームを拾えたことは大きいと感じる。
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コメント
主役の二人が打って、左腕エースに勝ち星が付き、クローザーがセーブするというペナントと個人タイトル争いから見ても申し分ない試合だったと言えましょう。
高橋がローテを一回飛ばしただけで戻ってこれたのも幸いでしたね。
超匿名さんへ
高橋は、本当に逞しくなりましたよね。気持ちと技術が噛み合い始めてきましたよね。