高津流負けゲームの作り方

ヤクルト１－５中日

守備でのミス、拙攻の連続と負けるべくして負けたゲームであり、中日にとっては相手のミスに付け込みながら先制、中押し、ダメ押しと理想的な形でゲームを進めることが出来たゲームだったのではないだろうか？そんなゲームではあったのだが、高津監督は冷静に選手起用を行い、市川、内山壮、濱田ら若手を起用しながら、負けゲームながらも今後に繋がる部分を作りながら負けることが出来たという評価も出来るゲームとなった。2位DeNAと7ゲーム差を付けているからこそ出来る采配なのかもしれないが、この辺りの負け方は、高津監督の巧さも感じることが出来る。

先発の小川は、最終的には6回２／３を投げ、被安打８（被本塁打１）、与四死球１の5失点という数字が残ってしまったのだが、初回も7回もレフトキブレハンのまずい守備も重なった中での失点ということで、今日は不運な部分もあったように感じる。もちろん7回については2アウトを取っていたため、何とかあと1アウトを奪って欲しかったのだが、その前に力尽きてしまった。6回にビシエドに浴びたホームランもインハイの難しいコースであり、ビシエドを褒めるべきホームランだったように感じる。数字ほど悪い印象は残らない投球だった。こういった野手のミスに足を引っ張られるゲームもあるのが野球というスポーツである。もうベテランに差し掛かっている小川であれば、こういった経験も何度もしてきているはずである。次戦に向けてしっかり切り替えてもらいたい。

打線は打線で中日先発小笠原から何度もチャンスは作ったのだが、中々得点を奪うことが出来なかった。2回は2ベースで出塁した村上が三盗を試みたが失敗に終わってしまい、直後にサンタナに2ベースが飛び出すちぐはぐな攻撃となってしまい、4回には山田四球、村上ヒットで作った0アウト1，3塁のチャンスでオスナがピッチャーライナーダブルプレーに倒れてしまい、9回も村上、オスナに連続ヒットが飛び出したのだが、後続が抑え込まれてしまい、得点に繋げることが出来なかった。これだけチャンスを潰してしまうと勝機も巡ってこなくなってしまう。
しかし打線も小川同様、今日は中日の好守に阻まれた部分もあったため、その辺りは上手く切り替えて明日以降のゲームに臨んでもらいたい。

こういったゲームで上手く若手を起用したのは、高津監督らしかった。０－５と差が開いた、7回2アウトからマウンドに上がった市川は、7月23日以来の1軍のマウンドだったのだが、1回１／３を無失点で抑えてみせた。夏場に1軍のマウンドを経験したもののまだまだ長所が見え辛い内容だった。正直今日の投球に関しても目に見えて成長を感じた部分はなかったのだが、1軍のマウンドで通用する部分と通用しない部分を肌で感じられること自体が市川にとってはプラスになるはずである。高校時代に比べてやや躍動感に欠ける印象はあるのだが、その分テイクバックなどに工夫を感じることが出来た。来年は是非勝利のための戦力として、1軍のマウンドで投げる姿を見てみたい。
打線では、拙攻続きのゲームで唯一得点を奪えた8回の攻撃が気になった。先頭の長岡がヒットで出塁すると続く代打内山壮が2ベースを放ち、0アウト２，３塁とチャンスを広げると、ここで高津監督は塩見に代えて濱田を代打で起用した。高卒3年目の長岡、高卒2年目の内山壮が結果を残して作ったチャンスで、塩見に代えて高卒4年目の濱田を起用する辺りの思い切りの良さが高津監督にはある。起用された濱田、代打を送られた塩見両者に奮起を促すような濱田の代打起用となった。
濱田はセカンドゴロに倒れてしまい、1点を返すにとどまってしまったのだが、追い込まれた中で小笠原のインコースへの厳しいストレートをセカンドゴロにした打撃は、おそらく濱田がイメージしていた最低限の打撃だったのだと思う。もちろん5点差が付いていたため、出来ればアウトにならずに次の打者に繋ぎたい場面ではあったのだが、シチュエーションを見ながら、様々なイメージを持って打席に入っていることを感じられる打席となった。今日の濱田のセカンドゴロに関しては、私自身は評価したいと感じる打席となった。

中日に巧く戦われてしまったゲームではあるのだが、ヤクルトはヤクルトで上手く負けることが出来たのではないだろうか？


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