仕事をするということ

ヤクルト8-1DeNA

今日のゲームを見て、「仕事をするということは、どういうことなのか?」という部分を考えさせられた。そんな視点で記事を書いてみたい。

当初の試合開始予定時間だった18時の時点では、神宮球場は大雨が降っていた。雨雲レーダーなどを見ながら、開催できるとの判断をNPB側はしていたようなのだが、外野のフェンス際やブルペンに雨水が池のように溜まっており、とても試合が出来る球場コンディションにあるとは思えなかった。「流石に今日は無理でしょ…」と思っていたのだが、グラウンドキーパーや球団職員などが必死に整備して、1時間30分後に無事試合開始となった。おそらくコロナ禍で日程が厳しくなっているからこそ、昨日も今日も強行開催したと思うのだが、本来であれば、選手のことを思って中止にするべきではないか?と感じるような状況だった。それでも必死にグラウンドを整備する関係者の姿には胸を打たれた。「仕事をする。」ということは、こういうことなのだろう。おそらく整備をしていたスタッフの中でも「こんなグラウンド状況でプレーさせるの?」という疑問を抱いていたスタッフは少なからずいると思うのだが、NPB側が開催するという判断を下した以上は、その指示に従って、出来る限りのコンディション作りを行う。それがグラウンドキーパーの仕事ということになるのだろう。野球が出来るようには思えなかったグラウンドを野球が出来るコンディションに整えたスタッフの皆様には大きな拍手を送りたい。素晴らしい仕事ぶりだった。
こうしたスタッフの努力があって、今日も試合は無事開催された。

サイスニード
・ヤクルトの先発サイスニードは、1時間半遅れでプレーボールとなったゲームでも集中力を切らさなかった。マウンドコンディションも悪く、おそらくは投手にとって投げ辛い環境だったはずなのだが、いつも通りストライクゾーンの中で勝負する、サイスニードらしい投球に終始してくれた。低めにボールを集めることが出来ており、ゴロアウトを重ねてみせた。開始直後はまだ雨も降っていたため、序盤から飛ばし、相手に主導権を握られたくない天候でのゲームだったのだが、サイスニードは、冷静にDeNA打線を抑え込んでいった。味方打線の援護にも恵まれる中で、7回0/3を被安打7与四死球2の1失点でまとめてみせた。
メジャーでは雨天の遅延などはかなり長い時間に及ぶことがあるというエピソードをよく聞くのだが、サイスニードもこういった開始時間の遅延には慣れていたのだろうか?そう感じさせるくらいに立ち上がりからゲームに集中しているように思えた。「仕事をする。」ということはこういうことなのだろう。

山崎、宮本
・2番レフトで先発した山崎、6番ライトで先発した宮本がともに自分の役割をしっかり果たしてみせた。
山崎は、初回の先制タイムリーを含む4安打と打撃で結果を残してみせた。DeNA大貫の立ち上がりを捉えた先制タイムリーはもちろん素晴らしかったのだが、各打席でしっかり自分のやらなければならないことを頭で整理して打席に入っていることが伝わってきた。バントの構えで揺さぶりながら最終的にはヒットに繋げた第1打席はもちろんのこと、10球目をヒットをにした第2打席、追い込まれてからも逆方向にヒットを放った第5打席などは見事な仕事ぶりだった。不動のレギュラーではないし、数字上はそこまで良いとは言えないのだが、今シーズンは数字以上に相手から嫌がられるバッターに成長しているように感じる。
宮本は、サンタナに代わって6番ライトで先発起用となったのだが、4打数4安打2打点と、勝利に大きく貢献してくれた。宮本に関しては、昨シーズンの勝負強さに比べて、今シーズンは苦戦している印象もあるのだが、今日のゲームでは山崎同様粘り強い打撃も見せた中で4本のヒットを放ってみせた。結果だけではなく、内容もあるヒット4本となった。宮本に関しては、打順も守備位置も様々な役割を任されており、本当の意味でのユーティリティプレーヤーという印象があるのだが、どういった役割でもしっかりこなす姿に「仕事人」という言葉を使いたくなってしまう。

内野守備
・雨の中の悪コンディションの中で、サイスニードは低めにボールを集め、ゴロアウトの山を築いたのだが、その中で内野陣は、本当に丁寧にボールを処理していたことが印象に残った。特に山田、村上は、難しい打球もいくつかあったと思うのだが、しっかり処理してみせた。山田に関しては、打撃で苦しみ、本人なりに様々な葛藤があると思うのだが、本当に出来ることをしっかりこなす姿に頭が下がる思いである。今の村上のようにNPBで図抜けた存在だったのは、もう過去の話である。そんな自分の置かれている状況に最も苦しんでいるのは、おそらく山田自身だと思うのだが、それでもキャプテンとして必死にプレーする姿は、他の選手にも伝わっているはずである。自分が今出来る仕事をしっかり行う姿は、私自身も見習わなくてはならないと感じる。
同様のことが村上にも言えるのではないだろうか?55号ホームランを放って以降、ピタリと当たりが止まってしまっているのだが、それでも今日のゲームでは守備で落ち着いたプレーを見せてくれた。まだまだ山田のような名手の印象はないのだが、それでも守備でも貢献できる選手になり始めている。今日は丁寧にボールの処理を行っていた。
そして長岡、オスナも丁寧な守備を見せてくれた。このコンディションで、多くの守備機会がありながらも、無失策で乗り切れたのは見事だった。
初回の中村の盗塁阻止も、チームに流れを持ってくるビッグプレーとなった。

ヒーローオスナ
・昨日の試合の9回に3ランホームランを放っていたオスナが、その勢いのままに第1打席で雨を切り裂くソロホームランを放つと、その後も犠牲フライとタイムリーヒットを放ち、貴重な3打点を叩き出してみせた。前半戦は、苦しんでいる印象が強かったのだが、何だかんだ助っ人外国人選手として及第点の数字は残してくれている。サンタナの長期離脱もあり、メンタル的にも難しいシーズンだったと思うのだが、試合中の集中力、貪欲さは見事なものがある。集中力が保ちづらい場面でも雑にならないのが、オスナの良さである。

今日の勝利で優勝へのマジックは2となった。明日DeNAに勝てばセリーグ連覇が決まることになる。今日の各選手のプレーを見て、今年のヤクルトの強さの要因が見えたように感じた。昨シーズンリーグ制覇、日本シリーズ制覇を経験したことにより、「勝つことの重要性」をチーム全体で共有することが出来たのではないだろうか?だからこそ、各選手が個人成績に走ることなく、シチュエーションに応じて自分の役割を果たそうとしてくれるのではないだろうか?私は、一時ヤクルトは「チーム全体で戦う嫌らしいチーム」から「個の力で戦うチーム」に変化した旨をこのブログで書いたと思うのだが(第一次小川政権後半~真中政権にかけて)、今はまた「チーム全体で戦うチーム」に変貌を遂げたように感じる。その中心にいるのが高津監督である。見事なマネジメントでここまでチーム力を高めてみせた。ここまで来たら、明日優勝を決めてもらいたい。

P,S 初回の走塁中におそらく足を痛めてしまった塩見の状況は心配ですね。その後もホームに返るまで走れてはいたため、大事には至っていないと信じたいのだが…
こういうグラウンドコンディションでのゲームとなると、昨日も今日も選手の怪我などのアクシデントが心配になってしまいますよね。実際にヒヤッとする場面は普段よりも多めですよね。

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コメント

  1. 超匿名 より:

     外野が水没しているのを見て中止だと思いましたね。球場のスタッフの奮闘には頭が下がります。
     試合は優勝に向かっているチームとして、好投手を打ち崩して勝つのが見たいという願望が叶う展開になりました。
     オスナはホームラン数が若干足りないかという点くらいで、守備は上手いし性格は真面目だし体は頑丈だし優良助っ人であるでしょう。ほぼレギュラーの山崎の活躍は成長を感じても驚きはありません。宮本の方は出場機会が限られた中で複数安打という結果を出すことも多く、頑張っているなという印象です。グランドコンディションのため塩見に影響が出た事で代わりに入った丸山は、打撃面ではまだ塩見とは開きがありますね。
     私は心配性のため、七月のクラスター発生からの失速以降歴史的V逸に怯える、ジリジリする日々を過ごしていたのですが、無用な心配に終わりそうなことに安堵しております。今日ホームで小川と村上で決めることが出来たら、ファンにとっては最高のシチュエーションとなりますね。

  2. FIYS より:

    超匿名さんへ

    あれだけ水が溜まった中でもしっかり試合が出来るところまでグラウンドを整えたスタッフの皆様には本当に頭が下がりますよね。

    オスナの守備、走塁は、私は決して上手くはないと思っているのですが、意識は高いですよね。野球というゲームをプレーする中で大切な部分の一つですよね。野村克也氏が健在であれば、オスナのことは誉めてくれるのではないでしょうか?

    丸山和は最後に大仕事をしてくれましたね。

  3. sabo より:

    悪コンディションの中で丁寧に守備が出来ましたよね。中村の盗塁阻止も落ち着かない試合の中でビッグプレーでした

    試合に関して言えばオスナのホームランがあるかないかで展開は違ったと思います
    あのホームランで大貫を早めに降ろしてくれたと思います。同じ1点でもコツコツ繋いで点とるよりも意味がある一発でした

  4. FIYS より:

    saboさんへ

    中村の盗塁阻止、オスナのホームランともに大きなブレーになりましたよね。

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