日本時間の2日早朝に行われたワールドカップE組第3節、対スペイン戦で日本が2-1で逆転勝利を収め、グループ首位で決勝トーナメント進出を決めた。これまでも日本は、自国開催の2002年、南アフリカ大会の2010年、ロシア大会の2018年と決勝トーナメントに進出してきたのだが、今大会については、過去にワールドカップ優勝を経験し、今大会でも優勝候補と言われるドイツ、スペインと同組でありながら、そのドイツ、スペインに勝利しての決勝トーナメント進出ということで、「快挙」という言葉を使って差し支えないのではないだろうか?ここまで来ると決勝トーナメントの1回戦でクロアチアに勝利し、記録上も過去最高成績を更新してもらいたいものである。
過去記事はこちらから→「カタールワールドカップについて少しだけ」
第1戦
日本2-1ドイツ
・立ち上がりこそ、ハーフウェーライン付近でボールを奪取し、オフサイドにはなってしまったのだが前田がゴールネットを揺らすなど、やりたいことが伝わってきたのだが、その後は、常にドイツペースでの前半となってしまった。ドイツのプレスが非常にきつく、日本は全くボールを持たせてもらえない展開となってしまった。前半33分には権田のファールでPKを与えてしまい、先制を許すと、いつ2点目を失ってもおかしくないような劣勢が続いてしまった。もしもう1点失ってしまっていれば、ゲーム展開は非常に厳しくなることは目に見えていたのだが、GK権田を中心にドイツの波状攻撃を何とか凌いでみせた。
正直これまでのワールドカップの日本戦の中でも最も厳しいゲームになっていると感じる程、実力差を見せ付けられた前半戦だった。しかし森保監督、また選手達にとっては、この程度のゲーム展開は十分に想定内だったのかもしれない。後半は、久保に代えて富安を投入し、システムも変更すると、徐々に日本がボールを繋げる時間が増えてきた。途中交代で投入された三苫、堂安、浅野らが積極的に仕掛ける中で、堂安の同点ゴール、浅野の勝ち越しゴールが決まり、試合をひっくり返すことに成功してみせた。これだけ苦しい展開でシステム変更と選手交代で試合の雰囲気を一変させた森保監督のゲームマネジメントがハマったゲームとなった。最終盤のDF陣の粘りも見事だった。「ジャイアントキリング」である。
第2戦
日本0-1コスタリカ
・初戦のドイツ戦の勝利で大きなアドバンテージがあった日本に対して、コスタリカは、スペインに0-7と大敗を喫していたため、メンタル的にも日本優位で戦えるゲームだと戦前は考えていたのだが、コスタリカは、0-7で負けていても自分たちのやるべきサッカーにしっかり徹してきた。少しでもコスタリカが前がかりになり、チームのバランスが崩れれば、日本ペースのゲームになると思っていたのだが、コスタリカはそれを許してはくれなかった。しっかりブロックを作って日本の攻撃の選択肢を削り、チャンスらしいチャンスを作らせてくれなかった。前半に関しては、ボールを保持しながらも決定的なチャンスはほぼ皆無という展開になってしまった。
後半に関しては、途中交代で入ったスピードのある伊東がペナルティエリア付近でファールを貰ったり、同じく途中交代で入った三苫が左サイドからペナルティエリア内に侵入し、チャンスを作る場面はあったのだが、決定機は限定的だった。
コスタリカはコスタリカでスコアレスドローでは、決勝トーナメント進出がかなり厳しくなる状況だったため、後半30分を経過してから高い位置でのプレスを意図的に掛けてきたように感じた。そんな中で吉田が自陣深い位置からクリアせずにつなぎに行ったところでミスが出て、コスタリカにボールを奪われるとフレールに絶妙なシュートを決められてしまい、この1点が決勝点となってしまった。日本のゲームプランとしては、おそらくまずは失点をしない。という部分があったと思うのだが、ジリジリする展開の中でワンミスが失点に繋がってしまった。
おそらく第三国のサッカーファンからしたら面白味に欠けるゲームだったと思うのだが、こういうサッカーで勝利を手にするコスタリカのような国も味があって私は好きである。
第3戦
日本2-1スペイン
・コスタリカに敗れたことで追い込まれた日本は、想定内とは言え、スペインにボールを保持され続ける展開となり、前半11分にサイドから崩されモレタに先制点を奪われてしまった。正直この1点は致命的なものになるかな?と感じたのだが、ボールを保持され続けながらも前半を0-1で終えることが出来たことで、ドイツ戦同様何とか首の皮一枚つながった状態で後半戦を迎えることが出来た。得点を奪いに行かなければならない後半開始から堂安、三苫を投入し、攻撃のスイッチを入れると後半開始早々の3分に前線からのプレスからボールを奪うと投入されたばかりの堂安が左足から放たれる強烈なミドルシュートをゴールへ突き刺し、同点に追い付くことに成功すると、その3分後には堂安の折り返しを三苫がラインギリギリで繋ぎ、ゴール前に詰めていた田中の勝ち越しゴールを引き出してみせた。田中のゴールに関しては、おそらくVARがなければ、ゴールになっていなかったプレーだと思う。三苫の折り返しは、テレビで見ている限りは、ゴールラインを割ったように見えたため、取り消される可能性が高いと思ったのだが、真上から映像を見ると確かにボールがライン上にかかっていた。これは人間の目で判断するのは不可能な判定だった。三苫もよく最後まで諦めなかったし、田中も良く詰めていたと思う。
その後は、ドイツーコスタリカ戦含め、刻々と状況が変わる中でのゲームとなっていたのだが、最終的には1点でも失えば、決勝トーナメント進出が絶たれるという厳しいシチュエーションとなり、最後の最後まで安心してゲームを見ることは出来なかった。私のようなアラフォー世代以上の日本人は、「ドーハの悲劇」をリアルタイムで経験している。同じカタールで行われているワールドカップのアディショナルタイム7分は非常に長いものに感じたのだが、最後の最後まで集中してスペインの攻撃を防いでみせた。日本らしく粘り強く戦うことが出来たことが、最高の結果に繋がった。
前回のワールドカップの際にも書かせてもらったのだが、Jリーグが開幕したり、ドーハの悲劇を経験した93年から約30年間に渡って日本サッカー界は多くのことを経験し、成長してきた。その積み重ねが、2大会続けての決勝トーナメント進出に繋がったことは間違いないことだと思う。そして森保監督がこの4年間で作ってきたチームは、方向性含め間違っていなかったことを証明してくれた。今の日本が国別対抗戦であるワールドカップで勝利するには、こういった粘り強い戦い方が出来るチームを作る他なかったのではないだろうか?昨年の東京オリンピックでもチームをベスト4に導いた手腕は評価されるべきである。
決勝トーナメント進出の余韻に浸りながら、もう少し今回のカタールワールドカップを楽しみたいものである。
過去記事はこちらから→「日本サッカー25年の積み重ねによるW杯ベスト16」、「2014ブラジルワールドカップ、日本代表について。」、「ドーハの悲劇から20年」
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コメント
ドイツ戦もスペイン戦もロスタイムが7分もあり予想以上に長く感じました。
だからこそ試合終了のホイッスルが響いた時は大変嬉しかったです。
今回ほどのジャイアントキリングではありませんが、巨人戦しかTV中継がない昔に、非常に弱いヤクルトが巨人戦に大勝利した時みたいに気分がいいです。
ジャイアントキリングは野球でもサッカーでも面白いですね。
このブログでも時々サッカー関連の記事がありますよね。
私がたまたま観た試合でなお且つこのブログの記事になったので覚えているのですが、2016年のクラブワールドカップでの「レアルマドリードvs鹿島アントラーズ」は注目のカードでしたね。
この時に活躍した柴崎岳選手とかどうなってるんでしょう?
あの試合の柴崎岳選手は凄かった。
オニさんへ
ドイツ戦もスペイン戦もまさしく「ジャイアントキリング」でしたね。互角に戦えていたとは言えませんが、見事な勝利であったことに違いはありません。
柴崎は今大会もしっかり代表入りしていますよ。アジア最終予選でのミスから出場機会は減っていますが…