決勝トーナメント1回戦
日本1-1クロアチア
PK戦(1-3)
過去記事はこちらから→「カタールワールドカップ 日本決勝トーナメント進出」
サッカー日本代表の世界における立ち位置が見えてくるゲームとなった。グループステージでは、ドイツ、スペインという強豪国に勝利し、グループ1位で予選を突破していたのだが、ドイツ戦もスペイン戦も非常に厳しいゲームであり、10回戦って、1,2回あるであろう勝機を上手くモノにしたゲームという印象があった。超一流国とはまだサッカーの質という部分で差があることも感じさせられたのだが、前回のロシア大会準優勝のクロアチアとの一戦は、1試合通してほぼ互角に渡り合うことが出来た印象である。これが今の日本の世界での立ち位置なのだと思う。ワールドカップ優勝経験国であるドイツやスペイン、フランスやイングランド、ブラジルやアルゼンチン、今大会は出場を逃しているイタリアなどと真剣勝負をすれば、ある程度自分たちのサッカーを捨ててでも我慢強く守備的に戦う他ないと思うのだが、世界のトップオブトップ以外のチームと対戦する時は、自分たちのカラーも出した中で互角に戦えるだけの力は付けている。
クロアチアは、フィジカルの強い選手が多い印象なのだが、中盤にはモドリッチを始めとするテクニカルな選手も擁していて、強さと巧さを共存させたチームである。そのクロアチア相手に、ワールドカップの決勝トーナメントという舞台でこれだけのゲームが出来たことは、日本がまた少し成長したことを示してくれたように思う。もちろん勝利してベスト8という舞台でブラジルと対戦する姿は見たかったのだが、今大会のグループリーグ突破は、ドイツとスペインを逆転で破っての勝利で手にしたものであり、これまでのグループリーグ突破以上の成果を上げてくれたと見て良いのではないだろうか?以前の記事にも書いているのだが、ドーハの悲劇をリアルタイムで経験している世代にとっては、29年間の日本サッカーの積み上げや繋がりを感じることが出来るカタールワールドカップとなった。
前半43分という時間帯に前田のゴールで先制したことは、時間帯含め理想的なものだったため、勝利への期待も膨らんだのだが、強豪国ひしめくヨーロッパで揉まれているクロアチアは簡単には勝たせてくれなかった。後半10分にペリシッチの強烈なヘディングシュートで同点に追い付かれると、そこからは、クロアチアの「負けないことを優先したマネジメント」の前に中々決定機を作ることが出来なかった。今回のワールドカップで大きく飛躍した三苫が見せ場を作る場面はあったのだが、攻撃陣に関しては、もう数人三苫のような「個で打開できる選手」の登場が望まれる。
ドイツ、スペインに勝利したとは言え、この2チームとの対戦については、運も味方に付けた中で勝利した印象であり、おそらく4年後のワールドカップでまた同じグループになったとしてもドイツ、スペインが本命という構図に変わりはないのだと思う。強豪国には長い歴史の中で培ってきたその国独自のサッカー文化があり、一朝一夕でその差を埋めることは不可能である。1990年代初頭にサッカーの神様ペレ氏が「21世紀はアフリカの時代になる。」と予言しながらも、その後もアフリカの時代にはなっていないことがそのことを証明しているような気がする。今の日本は「規律」、「意思統一」、「フェアプレー」と言ったところに特徴があると思うのだが、まだサッカーにおける明確な「日本らしさ」というものを持てていない印象がある。ワールドカップのベスト8以上を狙っていくのであれば、このに「日本らしさ」というもを確立していくということも課題の1つなのではないだろうか?
それでも右サイドを伊東がスピード豊かに突破していく場面や世界に通用する三苫の個人技、相手の攻撃の芽を摘む遠藤航辺りは印象に残った。特に三苫は、これまでの日本人選手にはない、ドリブルで勝負が出来るサイドアタッカーである。今後ビッグクラブでプレーする可能性もありそうである。現在の日本代表は多くの選手が海外組となったのだが、今後はスペインリーグ、プレミアリーグ、セリエA、ブンデスリーガ、リーグアンのビッグクラブで戦力になれる選手を増やしていかなければならない。この部分が今後の日本サッカー界の成長のためには欠かせないはずである。
私はこのブログで何度か触れているのだが、森保監督のことが好きだ。その森保監督の戦術やチームマネジメントが評価された中でのベスト16ということで、個人的には大満足のワールドカップとなった。
P.S 私はここの所サッカーまでは追いかけることが出来ておらず、ほとんど予備知識なしで今大会を観戦したのだが、クロアチアのCBグヴァルディオルが印象に残りました。まだ20歳という若さながら、強さと速さ、上手さを持ち合わせ、チームのためにハードワークが出来る選手だし、足元の技術も高く、左足から繰り出される正確なフィードも大きな武器となっていた。おそらく得点感覚にも優れたCBなのではないだろうか?今後ビッグクラブの主力を担う存在になるのではないだろうか?
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