5回表の大きな落とし穴

ヤクルト３－６巨人

今シーズンのヤクルトは、開幕5連勝と好スタートを切ったのだが、その後は、勝ち切れないゲームが続き、今日の敗戦で借金は４まで膨れ上がってしまった。巨人戦もそうなのだが、スコアだけを見ると意外と競り合いのゲームが多いのだが、その実、負けるべくして負けたゲームが多いと感じている。いわゆるミスが致命的な失点や拙攻に繋がってしまい、勝利を逃してしまうゲームである。故野村克也氏が言う所の「負けに不思議の負けなし。」というゲームである。今日のゲームもまさしくそんな展開のゲームになってしまった。
おそらく両先発はまずまず調子が良く、両者ともに特徴を出した投球を見せてくれていた。ロースコアの競り合いで試合が推移していたのだが、5回表の送りバントの処理でのミスが大きな失点を招いてしまい、そのミスが敗戦に直結する形となってしまった。こういう負けは、「仕方ない。」で片づけることの出来ない敗戦である。「悪い負け方」のゲームになってしまった。

ヤクルト先発のサイスニードは、初回は1アウト1，2塁、2回は0アウト3塁とピンチを招いてしまったのだが、初回は岡本和、大城というこれまでヤクルト投手陣が打ち込まれてきた2人を抑え込み、2回は下位打線を抑えきり、何とか無失点で立ち上がってみせた。ある程度ストレートに威力を感じることが出来、そのため緩急の「緩」のボールも効果的に使えていたように感じる。3回、4回は危なげなく巨人打線を抑え、このまま流れに乗っていけそうな投球を披露しているように感じた。
しかし5回に思わぬところから綻びが出てしまった。この回は、1アウトから門脇にヒットで出塁を許してしまったのだが、1点リードしている場面であり、次の打者が投手の横川ということで、特に慌てる場面ではなかった。初球に巨人がバントエンドランを仕掛けてきたことはおそらく想定外であり（巨人の再任ミスの可能性もあるか？）、サイスニードも打球を捕球した瞬間は、おそらく2塁でランナーを刺せると思ったのではないだろか？一瞬2塁へ送球する姿があったのだが、諦め、1塁へ送球したのだが、ファーストのオスナ、セカンドの山田がいずれも1塁ベースに入っておらず、サイスニードの送球は、一塁側のファールゾーンへ転がってしまった。巨人のバントエンドランという作戦に多少なりとも選手が戸惑った部分があったのかは分からないのだが、変な間が出来た中で大きなミスに繋がってしまった。1－0とリードしている場面であり、決して巨人投手陣の状態も良くはないため、きっちり処理し、2アウト2塁という場面で次の打者を迎えても大きな問題はなかったのだが…エラーにより、1アウト1，3塁とピンチを広げることとなってしまった。頭を抱えるサイスニードの姿に精神的なダメージが伺えた。結局次打者の吉川にレフト前に落ちるタイムリーを浴びてしまい、同点に追い付かれると、2アウト後に坂本に勝ち越しとなる3ランホームランを浴びてしまい、一気に試合の流れを失ってしまった。
先程も書いたように、今日はサイスニードの調子は、まずまず良かったと思う。横川のバントをしっかり処理していれば、試合展開的にももう1、２イニングは投げられる展開も考えられた。それが1つのミスから崩れ、この回だけで4点を失ってしまった。思わぬ落とし穴に自分たちで落ちていき、失う必要のなかった4点を失ってしまった。
チーム状態が良くなく、この3連戦も2連敗中だったこともあり、一度失った流れを取り戻すことは困難だった。6回は代わった大西がピッチャーの横川にタイムリーを浴び、8回は梅野のワイルドピッチで失点してしまった。いずれも2アウトからの失点であり、防がなければならないものだった。

打線は、前回の対戦時にプロ初白星を献上してしまった横川の前に今日も抑え込まれてしまった。前回の登板時にはそこまで打ちづらい投手には感じなかったのだが、長い試行錯誤の期間を経て、ボディーバランスの良い投手になったな。ということを今日のゲームで感じることが出来た。20年シーズンに対戦した際には、元巨人、西武の内海のフォームに似たフォームだったのだが、現在は、右手を大きく振り上げる阪神の伊藤将に少し似たフォームとなっている。ストレートも多彩な変化球もある程度コントロールが安定しているため、どういう意図で投球を行っているかが見えてくるタイプの投手である。今日は安定感があり、ヤクルト打線が打ち崩すことは難しかった。その中で2試合連続ホームランを放った内山のバッティングは見事だった。甘く入った変化球を完璧に捉えてみせた。昨日の大勢も今日の横川も他の打者が苦しむ中で完璧に捉えたということは、やはり内山のバッティングセンスが素晴らしいのだと思う。今後も楽しみである。
しかし今日のゲームで盛り上がれるシーンはこのシーンくらいだった。9回にオスナに2ランホームランが飛び出したのだが、すでに試合の行方がほぼ決まった中での一発であり、「焼け石に水」程度の反撃に終わってしまった。

今日は中村が1軍登録され、試合にも復帰するなど、ある程度選手は戻ってきたのだが、チームの歯車は噛み合ってこない。まずは、今日のようなミスを極力減らしてもらいたい。それだけでも勝ちに繋げられるゲームは増えてくるはずである。明日からのDeNAとの3連戦も苦しい展開が予想されるが、ここで踏ん張らなければ、首位阪神の背中は遠くなるばかりである。どんな形でも勝ち越したいカードとなりそうである。

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