現代野球における7,8,9回の重要性

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現代プロ野球における勝ちゲームでのリリーフ投手の重要性について少しだけ書いてみたいと思う。(今シーズンのヤクルトはこの終盤の3イニングに非常に苦労している。)

現代プロ野球においてこの7,8,9回に投げる投手の重要性は非常に高いものになっている。この傾向は、岡田監督時代の阪神がJFKと呼ばれるジェフ・ウィリアムス、藤川、久保田の継投で圧倒的な勝率を誇った頃から現代プロ野球のトレンドとなったような気がする。
もちろんもっと前から複数の強力なリリーフ投手を擁したチームはあったと思うが、はっきりとした戦略として7,8,9回を1イニングずつ任せるという戦法を取った岡田監督は、今思うと革命的なことをした監督なのだと感じる。しかしこの戦略は、実力のあるリリーフ投手が3人以上いなければなりたたない作戦であり、勤続疲労と言うものも計算しなければならず、長期的な視野で見ると危険と隣り合わせな作戦でもある。
ちなみに岡田監督は、オリックスの監督時代もリリーフ陣から逆算して投手陣を整備しようとしていたように感じたが、阪神時代のように機能させることはできなかった。(平野をリリーフ起用し、それまでのイメージを一新するような剛球投手となったことは岡田監督のヒットだとは思うが…)

しかしこの作戦、目の前の勝利をしっかり掴むという意味では非常に効率的な作戦でもある。YFKと呼ばれた薮田、藤田、小林雅のロッテ、SBMと呼ばれた摂津、ブライアン・ファルケンボーグ、馬原のソフトバンク、その他にも中日の高橋、浅尾、岩瀬などは印象に残っており、難攻不落のイメージがある。ヤクルトもMOLと呼ばれた松岡、押本、イムのリレーや古くは、ロケットボーイズ(五十嵐、石井弘寿)+高津といった強力リリーフ陣を形成していた時代があった。

しかししかしである。この作戦は、どうしても少ない投手に負担がかかりすぎる部分があり、長続きしないというのも事実である。(おそらく実績、勤続年数ともにJFK以上のリリーフ投手陣はまだ出てきていないのではないだろうか?)

正直言うと私は、この作戦があまり好きではない。もちろん必要性は感じているし、現代野球でもっとも勝利に近付ける継投だとは感じているのだが…
何故あまり好きになれないかと言うと、やはり選手寿命が短くなってしまう投手が多くなる印象があるからだ。もちろん岩瀬や巨人の山口のように素晴らしい数字を残し続ける投手もいるが、そんな投手は非常に稀な存在である。それでもプロ野球界では全く活躍できずに野球界から去っていく選手もいるので短期間でも光り輝けるということは大事なことなのかもしれないが、リリーフ投手陣を使い捨てのように起用してしまえば、長期的な視野に立った時に強いチームは作れないと言っても過言ではないような気がする。

今のヤクルトは、MOLが完全に解体してしまい、リリーフ陣が大変なことになっている。イムはすでにヤクルトを去り、押本、松岡も本調子からは程遠い投球内容である。MOLがいるうちに1回でも優勝が出来れば良かったのだが、その夢も叶わなかった。押本は岩瀬や山口には及ばないものの常にコンスタントに投げ続けていた鉄腕であり、松岡も4年ほどはリリーフ投手として投げまくっていた。2人とも素晴らしい投手なのだが、やはり故障と隣り合わせの起用法だったことは間違いない。(もちろん2011シーズンを始め優勝を狙えるチャンスがあったためこの起用法自体は間違っていなかったと思うが…)

さて文章がとっ散らかってしまったのだが、ヤクルトは今後どんな投手陣を形成していくのだろう?そしてどんな継投策を用いるのだろうか?
今シーズンなら松岡、押本、イムの代わりに石山、山本哲、バーネットを起用するのが手っ取り早く感じるが、皆さんはどう考えるだろうか?非常に難しい問題なのではないだろうか?リリーフ投手陣の酷使と言う問題と勝利とのバランスをどうとっていけば良いのだろうか?強力な先発陣を形成できれば少しは、リリーフ陣の負担も減らせるのだが、今のヤクルトにそんな戦力はない。となると後半戦に関しては、やはりJFK方式で行くのが勝利への近道なのだろう。しかし何度も言うようにこの作戦はハイリスクハイリターンな作戦であり、いつも危険と隣り合わせな印象がある。松岡、押本、イムの代わりに石山、山本哲、バーネット。調子が悪かったり故障者が出ればそこに代わりの投手を当てはめる作戦に未来はあるのだろうか?
岡田監督がJFK方式を確立したように他の方法で革命的な継投策は考えられないだろうか?今の所私には、何も良案が浮かんできません。それでも今の流れに乗っかっているだけでは強いチームを作れないことも間違いなさそうなのだが…

おそらく7,8,9回問題にぶちあったているチームはヤクルトだけではないはずだ。(もしかすると12球団全部なのでは…)新たな革命が起きることはあるのだろうか?

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コメント

  1. ユウ より:

    投手の酷使とチームの勝利のバランス…。これは本当に難しい問題だと思います。あるいは、この2つはどうしても両立することができないものかもしれないと感じています。
    高校野球でもそうなのに、プロとして戦っている以上、最終的な目標はチームの勝利・優勝以外にありません。勝つために最善を尽くそうと思ったら、やはり一番信頼できる投手に多少無理してでも投げてもらわなければいけません。スワローズで言えば岡林や伊藤智仁、最近では浅尾やJFKがまさにそうだったと思います。

    スワローズのこれからを考えると、この問題はとても重要な問題だと思います。
    私は、これからのスワローズは90年代のような黄金時代が必ずやってくると信じていますが、90年代は何と言っても古田がいたんですよね。
    実践している野球は今のチームにも野村監督の野球を受けついでいますが、岡林や伊藤(この2人は先発ですが)のように酷使して短期間で壊してしまっては、古田なき今、長期的に強いチームは作れないでしょう。もちろん長期的という前にまず1回優勝することが全てですが。

    黄金時代のヤクルトは、もちろん先発はそれなりに揃っていたと思いますが、中継ぎは抑えの高津以外は絶対的な投手はいなかったような気がします。もちろん今ほど中継ぎの体制が確立していなかったという時代もあったと思いますが、野村野球と古田の配球で何とかやりくりしていた・・・という印象があります。
    野村野球は今のチームにもありますが、古田がいない今のチームで、果たして少ない中継ぎの戦力を上手く使ってやりくりして巨人を倒して優勝することができるか・・・。

    中村には古田に匹敵するくらいの素質があると私は思い、中村が正捕手になればそういうやりくりもしていけるようになるのではないかと思いますが、まだどうなるか分かりません。そうなると、やっぱりMOLのような絶対的な勝ちパターンが3枚くらい揃っていないと優勝は狙えないと思います。短期間で酷使して壊れてしまって、次にまた勝ちパターンを任せられる投手が出てくれば良いですが、出てきてくれないとまさに今のような状態になりそうです。ですが、2011年のように優勝を狙うチャンスがあればどうしても無理して頑張ってもらわなければならない…。本当に難しい問題ですね。
    この問題を解決するような考えが現れたら、まさしく革命だと思います。

    とりあえず、スワローズのこれからを考えれば、まずは抑え投手を一人確立すること。もちろん日本人が理想です。最後の抑えが決まっていないと、それまでの継投も計算が立ちません。そして、中村悠平が正捕手を掴んでくれること。そうすれば、抑えが一人いれば、絶対的なセットアッパーが何枚も揃っていなくても、適材適所でなんとかやりくりできるようになると思います。あとは先発の石川・村中・赤川の復調。
    今シーズン後半戦、この3つが何とか実現してくれればと思います。

  2. FIYS より:

    > ユウさんへ

    素晴らしいコメントありがとうございます。ユウさんのコメントやブログを拝見すると、おそらく私と似たような視点、感覚でヤクルト及びプロ野球を見ているのだなと感じます。
    今回のような内容のブログ記事にコメントを頂けて大変うれしく思います。今後ともよろしくお願いします。

    投手の酷使と勝利のバランスに関しては、ユウさんの言うように両立することは非常に難しいことだと感じます。それでもいつかはこれを両立するような革命家が現れるのではないかと期待しています。

    日本における野球文化は非常に成熟したものになっていると思うのですが、今後大きな変化があるとしたら、ルールの変更、道具の変化、進化以外には、投手起用の方法が一番可能性があるものかと感じています。大学野球では木谷投手が所属していた日本文理大のように1イニングずつの小刻みなリレーで戦うようなチームも現れています。そう考えるとプロ野球界でも投手起用については一石を投じるような作戦が登場する日も意外と近いかもしれません。

    ヤクルトに関して言えば、確かに投手陣だけでなく古田と言う稀代の名捕手がいたことを忘れてはなりませんよね。私は投手にばかり目が行ってしまいがちですが、中村の成長によっては上手くやりくりをすることも可能かもしれませんね。

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