田中浩康の覚悟

今日は今シーズンから本格的にユーティリティプレーヤー路線でチームに貢献しようとしている田中浩康について取り上げていきたい。

田中浩自身も今シーズンに関しては相当の覚悟を持って戦っているのではないだろうか？2012年に二塁手としてベストナインとゴールデングラブ賞をダブル受賞し、2013年以降はチームを引っ張る立場として地位を確立していくものだと思っていた。しかし2013年シーズンは開幕から打撃不振に陥り、中々調子を戻すことが出来なかった。そこに現れたのが山田哲人だった。それでも2014年シーズン前の二塁手争いは「田中浩VS山田」の構図であり、現在田中浩が置かれている立場とは全く違うものであったことは間違いない。おそらく田中浩本人も二塁手としてレギュラーを奪うつもりでキャンプ、オープン戦に臨んでいたと思う。しかし山田が驚くべきスピードでスターへの階段を駆け上がってしまったため、田中浩が二塁手としてプレーすることはほとんどなかった。「田中浩VS山田」という構図に関しては、完全に山田に軍配が上がる格好となった。
こうなるとチーム内での田中浩の立場も非常に厳しいものとなる。正直今シーズンを前にヤクルトを去ってしまう可能性も低くないと思っていたのだが、田中浩はヤクルトに残留する道を選んだ（FAでの移籍を考えたとしても獲得に手を挙げる球団があったかどうかは分からないが…）。個人的にも田中浩に関しては、二塁手としての守備力込みで価値が高まる選手だと感じていたため、田中浩自身のことを考えるならセカンドでレギュラーを狙えそうなチームに移籍したほうが本人の為にはなるのかな？などという考えが頭をよぎったのも事実である。正直ヤクルトに残ってもどんな役割を担うのか見えてこないと感じていた。

しかし田中浩は、今シーズンを前にしてバッテリー以外のポジションはどこでも守るという決断をした。昨シーズンは一塁手や三塁手としての出場があったが、今シーズンは外野にもチャレンジしている。私はまだ田中浩が外野手としてプレーしている姿を見ていないのだが、他のヤクルトブログを見たり、このブログに届いたコメントを見ていると外野手田中浩の評判が中々良い。外野手としても良い動きを見せてくれているようだ。ここら辺は田中浩の高い守備センスがあるからこそなせる業なのだろうか？私も早く外野を守る田中浩の姿を見てみたくなった。

こうなると田中浩の存在が際立ってくる可能性がある。若くして二塁手のレギュラーを掴んだ選手が30代前半にしてそのポジションを奪われながらもチームの為に出来ることに全力で取り組む姿は若手の見本にもなるのではないだろうか？
状況によっては先発メンバーに名を連ねる可能性もあるし、山田にもしものことがあったときのバックアッププレーヤーとしても十分な実力がある。そしてゲーム終盤での代打、代走、守備固め、なんでもこなしてくれそうである。昨シーズンの田中浩と比べても今シーズンの覚悟を持ってユーティリティプレーヤーの道を選んだ田中浩の方が魅力的に感じるし、チームの戦力にもなりそうである。
2年連続最下位に終わり、競り合いに弱いヤクルトだが、田中浩という切り札を持つことによってゲーム終盤の戦い方が変わってくる可能性がある。戦術の幅も広がってくるのではないだろうか？

ユーティリティプレーヤーの評価は数字だけでは出来ないだけに、過去にどんなプレーヤーが高い評価を受けたのか分からないのだが（広島、巨人などで活躍した木村拓也氏辺りが有名か？）、田中浩にもユーティリティプレーヤーとして高い評価を受けるような選手になってもらいたい。

P.S　近年のヤクルトのユーティリティプレーヤーと言えば三輪なのだが、この枠に田中浩が参戦したことによって厳しい立場に追いやられているのかもしれない。三輪にあって田中浩にないものといえば盗塁テクニックではないだろうか？三輪にはもう一度原点に立ち返ってもらって長所であるスピードを活かしたプレーで積極的にアピールしてもらいたい。盗塁の企画数をもう少し増やしてもらいたい。


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